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バケットリストはたぶん書かない

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この話の中心にある「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)」。私がそういうものに初めて触れたのは、映画「死ぬまでにしたい10のこと」(監督 イサベル・コイシェ)だったように思う。最近ではTVドラマ「春になったら」などにも出てきて、不治の病で余命を宣告された人の定番アイテムかのように扱われている。

うーん、どうなんだろう、と思ってしまう。たぶん、残された人生を前向きに……というのが趣旨なのだろうけど──。同じ余命宣告を受けるにしても、映画「死ぬまでに…」のように未だ若い人の場合と本作などのように高齢者の場合ではちょっと違うように思うのだ。

人生はこれからという若い人の場合は、いっぱい色んなことを経験できるはずだったのに、それを果たせず死ぬのなら、せめて生きているうちにやれることをやる──そういう思いに駆られるのはわかる。

しかし高齢者の場合、既にいろんな経験をしてきているはずだ。そして、それらが人生にさして大きな意味を持たないことも分かっているはずだ。

たとえば本作の主人公らがやりたいことは「スカイダイビングをする」「ピラミッドを見る」「世界一の美女にキスをする」など、あまりにミーハーというか、俗物的というか……。もちろん本作は、そうした中で本当に大事なことを知るというオチではある。しかしそれはバケットリストとは直接関係ない。

ちなみにネット上にある「死ぬまでにやりたいことランキング」をみると、1位が「高額買取」(って何?)、2位は「片付け」、3位が「国内旅行」で、4位以下は「おいしいものを食べる」、「個人的な持ち物の整理」、「会いたい人に会いに行く」、「資産整理」、「遺言状を書く」、「エンディングノートを書く」、「海外旅行」──って、ほとんど「やりたいこと」じゃなくて「やるべきこと」じゃん。

私は余命宣告を受けても、おそらくバケットリストを書かないだろう。特別なことは何もせず、いつもと変わらぬ日々を積み重ねて、淡々と死にたいと思っている。

画像引用元 映画.com

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