じゃじゃの私設図書館

子供の頃に本屋さんや図書館で体験したあのワクワク感を、大人になってもここで感じてもらい…

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子供の頃に本屋さんや図書館で体験したあのワクワク感を、大人になってもここで感じてもらいたいという館主の思いを形にした、浜松市佐鳴湖近くの私設図書館です。私設とはいえ図書館です。9000冊を超える蔵書から貸出期間1か月で4冊まで無料でお貸出しします。

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    浜松市佐鳴湖近くのじゃじゃの私設図書館がお薦めする映像に関する記事をまとめています

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    浜松市佐鳴湖近くのじゃじゃの私設図書館がお薦めする本

  • 浜松トワイライトゾーンby吉田柴犬 じゃじゃの私設図書館編

    • 41本

    じゃじゃの私設図書ボランティアスタッフ吉田柴犬が贈る浜松の街角の「何、これっ?」

最近の記事

娘とか息子とか仕事とか

館主JajaのオススメMOVIES テレビドラマ「生きるとか死ぬとか父親とか」(主演 吉田羊) 女性コラムニストのトッキーことトキコは週一でラジオのパーソナリティを務めている。番組には毎週悩み相談が寄せられるが、彼女はそれらに真摯に向き合いながら、各々の内容に自らを投影することで一人親である老父との関係を修復していく──というドラマである。 事業に失敗して今は無一文となった父・哲也だが、羽振りの良かった頃は外に愛人まで作って好き勝手に生きていた。トキコは二〇代の頃それを知

    • トンデモ本? いいえ、示唆に富む良書です

      館主JajaのオススメBOOKS 書籍「ヤバい経営学」(フリーク・ヴァーミューレン) 「どうだ、面白かっただろう」と言わんばかりのエピローグには正直ドン引きするが、確かに面白かったという点については認めざるを得ない。 読んでいて、ずっと頭の中に流れていたのはB'zの楽曲「Time Flies」の 〽すべては相手と運任せ── という一節だった。 たとえば本書では、目を引くような高業績を上げている経営者は、高いリスクを向う見ずに取って、たまたま高いリターンを得たに過ぎな

      • 主人公が幸薄い女子じゃなくたって

        館主JajaのオススメMOVIES 映画「DOGMAN ドッグマン」(監督 リュック・ベッソン) 物語は、父親のDVが日常化する少年時代に母親に去られ、犬小屋に入れられて生活した経験を持つ男が、多くの犬とともに街の悪党と戦うというものだ。 久しぶりのリュック・ベッソンの監督作品で、とても面白かった。まだまだ俺は錆びついちゃいないぞ、と言っているかのようだ。 だが、これがいつもの彼の作品のように不遇の女子を主人公にしていたら、もっと好かったのにと思うのは私だけだろうか。多

        • 子供がツラクならないように読みました

          館主JajaのオススメBOOKS 書籍「親の介護がツラクなる前に知っておきたいこと」(島影真奈美) 東京時代に長く住んでいたマンションでは、夏になると毎朝5時前後に中年女性のヒステリックな金切り声が聞こえてきて、目が覚めたものだ。 「ママ、何やってんのよ! ホントにもう」などと明瞭に聞こえることもあったが、ほとんどは 「◎×¥$●&%#△?!」と意味不明な怒声だった。 夏の間は声の発信源が窓を開けていたから聞こえたのだろうが、おそらく一年中やっていたのだと思う。そのう

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        記事

          私も中谷美紀に褒められたい

          館主JajaのオススメMOVIES テレビドラマ「ギバーテイカー」(主演 中谷美紀) 久しぶりに中谷美紀の主演作を観た。私にとって中谷美紀といえば、やはりテレビドラマ「ケイゾク」である。あれで彼女は、それまでのお嬢さん役、お姫様役の女優から一皮むけたように思う。 その後、印象に残っているのは映画「嫌われ松子の一生」だが、あれは少々やり過ぎである(彼女の女優魂には頭が下がるが…)。あとほかは映画「阪急電車」くらいだろうか──。のちに彼女は国際結婚して、それを機に活動量を減ら

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          適切なことを適切なタイミングで言うこと

          館主JajaのオススメBOOKS 小説「流浪の月」(凪良ゆう) 私は今でも平日、都市開発に係るコンサルタントをしているのだが、最近はもう以前のように資料をガンガン作って……ということは少なく、ほとんどがアドバイザリー業である。そう言うと、多くの人に 「それは楽な仕事ですねェ」 などと羨ましがられる。がしかし、これがなかなかどうして大変で難しいのである。 ひとつ言えるのは、しゃべり過ぎないこと。もちろん、知識不足等でしゃべれないのでは話にならないが、多くを語れば良いとい

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          1994年のフリーフォール

          館主JajaのオススメMOVIES 映画「FALL/フォール」(監督 スコット・マン) 高所恐怖症である。閉所恐怖症でもある。加えてヘビ恐怖症だし、地震恐怖症だし、他にもいろいろ……、要するにビビりなのだ。 学生時代に、エアコンの室外機取付工事の補助をするアルバイトをしたことがあった。親しい先輩から紹介されたバイトだったが作業員の隣で工具を手渡す程度の軽作業だと言うわりに、やけにいいバイト料(50年近く前で日給1万円を超えていたと思う)だったので、二つ返事で引き受けた。が

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          最も身近な民主主義社会

          館主JajaのオススメBOOKS 書籍「集合住宅と日本人」(竹井隆人) 私が東京にいた頃、長く住んだのは500戸からなる大規模マンションだった。そこでは区分所有法に基づく管理組合と地方自治法に基づく自治会が別個に組織されていた。 私はそこで管理組合理事長と自治会長を歴任した。歴任したなどと言うとそこの名士だったかのようでエラソーだが、ご多聞に漏れず両組織とも輪番制の中で嫌々引き受けたに過ぎず、自慢できることではない。 もっとも、理事や役員は十数年に一度はやらなければなら

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          アンチヒーローって誰なのさ

          館主JajaのオススメMOVIES テレビドラマ「アンチヒーロー」(主演 長谷川博己) 初回を観た時には、ああ、よくある法廷ものかぁ、と思った。冤罪を科学的根拠に基づき晴らすというのは、福山雅治のガリレオシリーズや坂口健太郎の「イノセンス 冤罪弁護士」などで手垢がついていて、今更感を禁じえなかったのである。 しかし、2回以降は科学的知見にウエイトを置くのは影を潜め、回を進めるごとにこれはそれらの法廷ものとは一線を画していることが分かってくる。毎回のエピソードは完結しながら

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          他人を罰しようとする狂気

          館主JajaのオススメBOOKS 書籍「大衆の狂気 ジェンダー・人種・アイデンティティ」(ダグラス・マレー) 今日の社会では性差別、同性愛への偏見、人種差別等に代表される「社会的不公正」を正そうと、あらゆる立場の人がそれぞれの権利を主張することができる。もちろん、それ自体は良いことに違いない。 しかし中には何かというと「欧米では……」という論調で、この種の問題では欧米社会がいかに先進的で、優れているかのように喧伝する向きがいるが、本当なのだろうか。 たとえば、英国には平

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          彼の毎日の背景を想像する

          館主JajaのオススメMOVIES 映画「PERFECT DAYS」(監督 ヴィム・ヴェンダース 主演 役所広司) 朝起きる。鉢植えの植物に水をやる。部屋のドアを開けて空を見上げる。自販機で缶コーヒーを買い、クルマに乗って仕事場に向かう。車中、カセットテープで70年代の洋楽を聞く。 仕事は都内各所の公衆便所の掃除だ。見えにくい箇所の汚れまできっちり落とす。昼は神社のベンチに腰掛けコンビニのサンドイッチを頬張りながら、境内に茂る大樹の写真をフィルムで撮る。日が傾く前に仕事を

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          エロさの裏側に垣間見えるのは?

          館主JajaのオススメBOOKS 小説「Red」(島本理生) 読みだして数十頁で感じたのは──エロい……。 まるでアダルトビデオを観ているかのようだ。性行為の描写については、これまでにもいろんな作家のそれに触れているが、ここまでではなかったように思う。いや、描写だけならもっとすごいのもあった。官能小説家と呼ばれる人たちの描写は、もっと率直で具体的だ。だが、それら以上になまめかしく感じる。 それは一つには、女流作家によるものだということがある。男目線で作られるAVとさして

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          はんなりとぶぶ漬けと高畑充希

          館主JajaのオススメMOVIES テレビドラマ「いりびと 異邦人」(主演 高畑充希) 私の中で京都人に対するイメージは両極端である。 あれはいつのことだったか──また何故そこに居たのか、それすら憶えていないが、ともかく私はそのとき京都市内でバスに乗っていた。 そして、とあるバス停で降りようとした一人の若い女性とバスの運転手とのやり取りを聞くともなしに聞いていた。もちろん、会話の内容も憶えていないし、憶えていたところでそれをここで再現できるほどの文章力も持ち合わせていな

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          実に村上春樹的な写真集

          館主JajaのオススメBOOKS 書籍「波の絵、波の話」(稲村功一・写真 村上春樹・文) 今や当館の蔵書数は1万冊になんなんとしている。店頭に出ている本はおそらく4~5千冊なので、それ以上の本が私の居宅でもある2階を含め、バックヤードにある。先日、久しぶりに入れ替えようと、そのバックの本棚(図書館らしく閉架書庫と言うべきか)を眺めていて見つけた本がこれ。 ──こんな本、あったっけ? 元々の私の所蔵本じゃないのは確かだが、まったく記憶にない。たぶん開館間もない頃に寄贈頂い

          実に村上春樹的な写真集

          広瀬すずは幸薄い役が嵌まる

          映画「流浪の月」(主演 広瀬すず 松坂桃李) 館主JajaのオススメMOVIES 2023年の日本の合計特殊出生率(一人の女性が生涯のうちに生む子供の数の平均値)は1.20だったそうで、いよいよ少子化ひいては人口減が深刻になっている。もっとも、出生率の右肩下がりの傾向は先進国一様で、人口維持に必要な2.06~2.07を長い間上回っていたアメリカですら、ここ数年は大きく割り込んでいる。お隣の韓国ではなんと0.72である。 こうした世界的な傾向の背景には、子育てに関する費用の

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          人はなぜ都市を目指すのか?

          館主JajaのオススメBOOKS 書籍「クリエイティブ都市論」(リチャード・フロリダ) インターネットを始めとするテクノロジーの発達によって、世界はフラットになったという言説がある。南海の孤島にいようが、ヒマラヤの山頂にいようがネット環境さえ整っていればグローバル経済に参加できるからだと言う(実際には孤島や最高峰の頂はネット環境にないだろうけど)。 だが本書によると、全世界の人口に占める都市人口の割合は1800年には3%に過ぎなかったが、21世紀初頭には50%を超えたそう

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