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消えゆく「都々逸」の色気

皆さんご機嫌よう、もーやんです。

早速ですが、皆様ご存じこちらの言葉。
都々逸(どどいつ)と呼ばれる唄だということはご存じでしょうか?

立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花

わたくし、知りませんでした。
もちろんどこかでいつか聞いていて、”美女を表現した言葉”であるということは知っていました。華が咲き乱れるようで、語呂もよくて「いよっ」と囃したくなりますよね。また、そうありたいと憧れたこともあります。

でも、俳句や川柳のように都々逸というモノの1つである、というのを知ったのはつい先日。こちらの本を読んだことがきっかけでした。

『浮世離れの哲学よりも 憂き世楽しむ川柳都々逸』
(坂崎重盛 著。中央公論新社)

●都々逸とは

七七七五あるいは五七七七五で表現された文で、季語などルールに縛られない川柳(五七五)に近いものです。俳句や川柳は堅いイメージがありますが、都々逸はもっと庶民に近く、世間のほか男女の機微や性愛を唄ったモノも多かったそう。

わたしのように都々逸だとは知らず、言葉だけは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

例えば、高杉晋作が唄った(諸説あり)とされる都々逸はこちら。

三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい

初めて読んだとき、「聞いてて気恥ずかしい」と感じたのでよく覚えていました(´▽`)

本書では、あけすけな破礼句から繊細な男女の機微、戦時中の凄惨さまで、都々逸や川柳を通して人々の暮らしを垣間見ることができます。凝縮された言葉だからこそ、描かれていない場面を想像する醍醐味があるのです。

まさに、哲学書にかじりつくよりも、先人たちの都々逸を学ぶ方が真理を突いていると著者の言葉通りです。

読み始め、あまりにもハレンチな内容に都々逸とは昔の猥談集なのかしらとドキドキとページをめくりますが、次第に教養的な話題が続き、真面目な話へ移ります。歴史や偉人、文豪の話題で眠くなっても、ふいに恋の唄が混ざるためうっかりと読み進めてしまいます。まんまとしてやられました。
これが教科書だったら、さぞ勉強が楽しかったのにと思いますよね。

著者の嘆きとして、サラリーマン川柳などは有名なのに都々逸は消えかけているということがありました。確かに、私も「ドドイツ」という言葉だけ何かで知っていて、意味は知りませんでしたもの。

高座の枕で使われたり、お座敷や言語遊戯として楽しまれたり。
現代人は圧倒的に「ただ言葉を練るようなヒマな遊び時間」というものが少ないですよね。稼ぐためだけではなく、余暇すらもインプットで埋め尽くす人が多いですから。

変化した価値観と、変わらない哀愁。それぞれを振り返って、納得して、面白くて心に残る都々逸たち。教訓とするにもバカねぇと笑うにも、消えてしまうには惜しいなと感じました。。。

それでは、本書で気に入った川柳・都々逸をご紹介して終わりにしましょう。

・雷の落ちる拍子に後家も落ち
・親父まだ西より北へ行く気なり
・少しずつ灯のふとくなる新枕
→知識がないと面白くないシリーズ。川柳や都々逸は昔の言い回しが沢山あり、教養人だけがニヤニヤ楽しむ男女のアレコレというもの。直接的な表現だと色気もないですが、茶目っ気を感じます。解説は本書で。

・ソクラテス死刑孔子失業釈迦行倒れ
→皮肉のストレート。それを言ったらおしまいですが笑っちゃいます。

・女房と相談をして義理を欠き
→自戒を込めて選出。ある程度は男社会を尊重したいもの。

・顔見りゃ苦労を忘れるような 人がありゃこそ苦労する
・酒の相手とあそびの相手 苦労しとげて茶の相手
・酒の上とは云わさぬ云わぬ 力のこもった女の手
・末は袂を絞ると知らで 濡れてみたさの夏の雨
→うーん。。。いいですねえ。

・富士の山ほどお金を積んで それをそばから使いたい
→まあ素直なこと!わたしもそうしてみたいわ。

・丸い玉子も切りよで四角 物も言いよで角が立つ
→これは、ほんとうに大切よね。胸に刻みます。

・長き夜のとおの眠りの皆目覚め浪乗り船の音のよき哉
→こちらはめでたい回文(逆から読んでも同じ)。七福神の宝船の絵に添えて書き、新年に枕の下へ入れていたそう。年賀状に書いたりとか。

それでは、ここで一考。
素人ながらせっかく都々逸について書くので頭を捻ってみました。

noteがつむぐ人の今昔 誰かの心を照らすため

むずかしーーー!!!笑





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