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グローバル無駄化

雑貨屋とは

雑貨屋は不思議な場所だ。
そこにある殆どは、
大量生産の世界からやってきたもの。
だが、一つ一つの商品がこの世で最後の
一つかのように輝いている。埃をまといながら。

一生売れそうにない、
寧ろ売り物なのかも分からない謎のオブジェ。

いつかの大人気映画のパンフレット

遠い国の兵士が使っていたカバン。

絶妙なバランスで積上げられた本たち。
一冊100円。
と書いていないものは店主まで。

自分の前にどんな人、時代、場所を巡ったのだろう
と妄想を膨らませながら
主人公が自分に変わったことに強い運命を感じる。

4限 現社

「これからはグローバル化の時代です。」

現代社会の先生は夏の暑さでやられた僕らに
語りかける。

「そう、だから、すなわち、つまり、
 国際化の時代です。」

扇風機しか回っていない教室ではノートを取るのが
精一杯で先生の言葉など、まるで頭に入ってこない。

「グローバル化と国際化て違うのか、どっちだよ。
 統一しろ。」

とぶつぶつ呟くA

朝練で汚れたスパイクを磨いているB

膝の上に乗せた弁当から唐揚げを1つだけつまむC

英単語帳を開いたまま眠っているD

弁当箱に手を伸ばす勇気はなく、時計の針を眺める

昼休みまで、残り35分。

in 20✖✖

グローバル化。
想像していたのは、明るい未来。

多文化が混ざり合い、経済が協力し合い、
色んな新しい価値観や出来事が目の前に現れる
希望に満ち溢れた世界

実際はどうだろうか。

経済が開かれたことで、他国の事情に翻弄されるようになり、国家、人種、宗教同士の争いが起き、新しい価値観と情報は溢れかえって頭がパンクしそうだ。

色んなモノが統一化され、より効率的に動かされる。

もう少しで車は運転するものから、
乗るだけのものになるらしい。

愛すべき、

僕たちが愛すべき無駄ではないだろうか。
レコード、カセット、CD、サブスク。
映画、DVD、アマゾンプライムにYouTube。
最先端がいくら現れようが
この世から最後尾が消えないのには

誰かが無駄を愛しているからだ

こんな世の中でも誰かに会いたいという
無駄も。

買い物博打

博打に関して詳しい知識はない。
だが、雑貨屋での買い物は間違いなく博打だ。

この前、ずっと気になっていた
カセットプレーヤーを買った。

ラベルには動作確認の、未の文字
大きな丸で囲まれたのと200円という値段だけ。
(あと坂本冬美と書かれたカセットテープが一緒に
 入っていた。)

電池も入ってないので、
買うとなると総額600~700円といったところ。

動くことにかけて買った。もうその全てに賭けた。
動いてくれれば何でもええという思い。

急いで帰りに電池を買った。

動いた

当たり前かのように、

動いたのだ。

調べてみると、パナソニック製だが
北米でしか販売されてなかったらしい。
色んな景色を見たんだろう。

回転する小さなベルト音が
僕に土産話を語っているかのように聞こえた。

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