資本主義をゲームに例えて考える②

 前回のnoteで、資本主義をゲームに例えて目的、評価、ゲームの世界、プレイヤー、ジョブの5つについて考えてみました。

 今回は、ジョブ同士の関係性、ゲームとジョブの今後、ゲームを有利に進める方法について考えました。

目次
・ジョブ同士の関係性 お金を持つ者が有利である
・ゲームとジョブの関係性 競争するジョブ、しないジョブ

ジョブ同士の関係性
 このゲームには、「従業員」「自営業」「経営者」「投資家」の4つのジョブがあります。これらのジョブは互いに関係性を持っています。
・従業員と経営者
 従業員と経営者は、原則上は対等です。従業員は労働による成果を出し、経営者は給与や福利厚生を出すという契約を結んでいます。従業員は、自分の求める給与等が出なければ契約を解除出来ますし、経営者は自分の求める成果が出なければ給与等を減らしたり出来ます。
 しかし、現実的には経営者の方が有利です。なぜなら、従業員は給与等が不服でも「一定期間ごとにお金を稼げる」という安定性を手放すことが非常に難しいからです。一方、経営者の方は会社を組織化して「誰がやっても成果を出せる仕組み」を整えますから、従業員が辞めても次の人を採用すれば問題ありません。
・自営業と経営者等
 自営業の人は、従業員と若干似ており会社(経営者)や個人と契約を結び、求められる成果を出してお金を稼ぎます。契約の内容によりますが、自分のスタイルで自由に働いて成果を出せば良いですし、条件が合わなければ契約を結ばない選択もできます。
 しかし、現実的には自由に自分がやりたいことをやるよりも、お金を稼ぐために不利な条件でも契約して働く場合が多いです。契約相手の会社や個人は、別に自営業の人の生活を保障する責任はありませんし、特別な技術や非常に高い成果を求める場合を除き、どの自営業の人でも自由に選択できるので、わざわざ相手に合わせて契約する必要はないからです。そのため、多くの自営業は毎日の生活のために、結局不自由な働き方で働かざるを得なくなります。
・経営者と投資家
 経営者は、自分の会社が活動するために必要なお金を、投資家から募って集めます。投資家は、これから成長が見込めてお金が増えそうな会社に投資をします。
 経営者は、投資家に渡す分も含めて利益を出すように働かなくてはいけません。一方、投資家は投資先の会社が不景気や倒産でお金が減ってしまった場合の損を引き受ける責任があります。ただし、会社全体の損ではなく自分が投資した分だけです。

 ここまでいくつかの関係性を見ましたが、どの関係性においても「お金を持っている方が有利である」ことがわかります。
 従業員と経営者の場合、従業員が自分のお金を充分に持っていれば、会社に対して福利厚生等を強く要望し、対応してもらえなければ会社を辞めて別の会社に転職する等の選択ができます。しかし、実際にはお金を十分に持っている従業員は少なく、給与を出している経営者の方が有利です。
 自営業と経営者等の場合も、自営業側にお金の余裕があれば自分の納得できる内容で契約して働けますが、実際にはお金を出す方の要望を優先して聞かなければなりません。
 経営者と投資家の場合、経営者がわざわざ投資家からお金を募らなくても会社を経営できるのであれば、投資家からの要望に必要以上に対応する必要はありません。しかし、実際には会社や事業を拡大するために多くのお金が必要であり、投資家にお金を出してもらっているので彼らからの要望に対応しなければなりません。

ゲームとジョブの関係性
 以前のnoteで、「資本主義は人の欲望を原動力にお金を材料として競争を行い、欲望を満たすものを無限に創造していく仕組み」と定義しました。この定義における競争は、永久的に続きかつどんどん水準が上がっていきます。
 この競争は、一体誰が行うのかというと「従業員、自営業、経営者」ジョブの人達です。従業員は、給与のために他の会社と競争し、出世のために会社内で競争します。自営業も、顧客や売上を維持するだけだとしても同業の自営業や会社と日々競争します。経営者は、会社の生き残りを賭けて他の会社と競争します。
 つまり、資本主義ゲームにおいて「従業員、自営業、経営者」ジョブを選んだ人は、永久的に水準が上がり続ける競争をしなければなりません。
 では、「投資家」はどうでしょうか。株やFXで、数秒ごとの値段の上げ下げで儲けようとする場合は激しい競争になります(これは正確には投資ではなく投機です)。しかし、今後の成長が見込める会社や不動産に投資して稼ぐ場合は、投資家自身は特段競争をする必要はありません。なぜなら、投資した会社(従業員と経営者)や不動産を借りている人が、代わりに毎日競争してくれるからです。「誰よりも早く、成長が見込める会社や不動産を見つけて投資する」場合であれば、ある程度の競争はあるかもしれませんが、少なくとも他のジョブのように毎日競争する必要はありません。

 今回は、資本主義ゲームにおけるジョブ同士の関係性と、ゲームとジョブの関係性について考えてみました。皆さんはどう思いますか?

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