「トラック版ウーバー」!?中国の巨大な物流市場をデジタル化するフル・トラック・アライアンスのForm F-1資料を眺めてみる

こんにちは!JAFCOインターンアカウントからの発信です!
今回は、ソフトバンクのビジョンファンドからの出資も受け、2021年6月にNY証券取引所に上場を果たし、時価総額も1兆円を超えている「トラック版ウーバー」の、フル・トラック・アライアンス(FTA)について、当社のform F-1資料の内容を中心にご紹介します。

1.FTAの事業内容
FTAは、世界最大級のデジタル貨物配送プラットフォームを提供する中国の企業です。
280万以上の配送事業者(トラック運転手)、130万以上の荷主を抱え、デジタル上で配送をマッチングしており、
2020年には同プラットフォーム上で約7,000万件の注文が発生し、GTV(Gross Transaction Value:総取引額)は266億ドルに達しています。

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FTAは、2017年にHuochebang社とYunmanman社が合併して設立された会社です。Huochebang社とYunmanman社はそれぞれ2011年と2013年に設立されています。どちらもQQやwe chatのグループを通じて貨物配送のマッチングを行ったところから事業を開始しています。
競合とも呼べる二社同士が統合して巨大市場に立ち向かっていくのは、中国市場のダイナミズムを感じますね。

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                     (フリー素材ぱくたそより)

中国の物流市場について、当社のForm F-1内で以下のような記載があります。

"In China, the matching of shippers and truckers traditionally took place offline in remote logistics parks, where shipping orders were written on blackboards in a disorganized manner, with most of the negotiation process conducted over the phone or in person."
(Form F-1より抜粋)

「配送指示は黒板に無造作に記載され、交渉も電話やリアルで行われている」とあります。中国の巨大な物流をこのようなアナログな方法によって支えられていたとは驚きです。

当社では、このような業界の課題を解決するために、荷主と運送事業者をデジタル上でマッチングするプラットフォームを開発しました。

"私たちは、スマートフォンやモバイルインターネットの普及を活用し、物流業界全体の透明性、信頼性、効率性を促進する全国的なインフラと業界標準を確立しました。このようにして、私たちは中国の経済成長に貢献し、何百万人もの荷主やトラック運転手の生活を向上させ、地球の二酸化炭素排出量を削減しています。"(Form F-1より訳)


現在では、祖業であるオンライン上でのトラック運転手と荷主のマッチングサービス以外にも、荷主とFTAで契約を結び運送の保険や品質を保証する貨物仲介サービスや車両のメンテナンスサービスなどの高付加価値のサービス、プラットフォーム上でのマッチングに留まらず、荷主と運送事業者の契約をプラットフォーム上で行うサービスなども開始しています。

これらは、FTAがプラットフォームとして成長し、大量の荷主と配送事業者を抱えており、安定的な取引を実現することができるからこそ展開可能な事業です。また、これらの新しいサービスにより、FTAはマッチングに対するFeeだけでなく、荷主、配送事業者からの保証金など、新しい収益源を獲得することに成功しています。


2.業績
2020年に実施した17億ドルの資金調達等を背景に、大胆な先行投資による赤字が積みあがっています。20/12期はロックダウンによる物流停止等の影響もあり、売上はほぼ横ばい、赤字幅が増大しています。

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直近のLTM(2020/07~2021/06までの12カ月間)では売上が大幅に成長していることがわかりますが、同様に赤字額も大きくなっています。

続いて、当社の最も重要としているKPIであるGTVとMAUの推移です。
2020年の初頭はロックダウン等の影響もあり、一時的に落ち込みを見せていますが、20/04には回復を見せ、昨対比を大きく上回る成長を実現しています。

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Shipper MAUの成長よりもGTVの成長が上回っており、配送事業者にとってはより稼げるプラットフォームになってきたのではないかと考えられます。
車両点検などの付加価値サービスと合わせて、配送事業者側からも手数料を徴収しはじめたというのもうなずけます。


数百億円近い赤字をたたき出していますが、レガシーかつ巨大な中国の物流市場を攻略するために、当社では今後も技術革新やインフラ、サービスやネットワーク拡大のための投資を継続していくとのことです。物流業界は日本国内でも革新が急速に進んでいる分野なので、当社の動向は今後も注目していきたいですね。

いかがでしたでしょうか?今日は直近米国に上場したFTAを取り上げてみました。たくさんのご反応を頂けたら、FTAの更なる詳細記事、他の米国新規上場企業を取り上げてみようと思います!継続的な記事執筆の励みとなりますので、少しでも「面白い!」と思った方は、いいねやtwitterでの拡散をお願いします!!

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