【図解】直近10年で伸びた市場に学ぶ、ビジネスアイデア⑯〜スノーピーク〜

こんにちは!
JAFCOインターンの加藤です。

先日友人とキャンプに行ったのですが、テントってすごいですね。一見するとこれで本当にテントができるのかというくらい非常にシンプルな骨組みなのですが、実際に立ててみると、誰でもできるやり方で、しかも丈夫なテントが出来上がります。これを開発した人は天才なのではないかと感嘆しました。

さて「直近10年で伸びた市場に学ぶ、ビジネスアイデアシリーズ」第16回は、オートキャンプ愛好者向けにキャンプ用品を開発から販売まで行う株式会社スノーピーク (以下スノーピーク)について取り上げたいと思います!

1.スノーピークの事業内容

スノーピークは大きく分けて5つの事業を展開しています。

事業系統図スノぴ

スノーピークはアウトドア事業アパレル事業だけでなく、アーバンアウトドア事業も行っております。また、多くの子会社を持ち、地方創生事業キャンピングオフィス事業なども手掛けています。
アパレル事業では、コートやシャツなど、都市部で着用するような商品を販売しています。
アーバンアウトドア事業とは、自宅などにアウトドアの要素を取り入れることで、都市部で生活しながらも自然を感じることができるライフスタイルを提案するというものです。三井不動産などといった不動産会社と協働しています。
地方創生事業ではアウトドア事業で培った知見を活かし、地方自治体を対象にコンサルティングを行っております。
キャンピングオフィス事業ビジネスソリューションズ事業の主要な事業で、キャンプなどのアウトドア活動の場を企業に提供することで、社員間のコミュニケーション向上、チームとしての協調性向上などを推進するというものです。

各事業別の売上は次のようになっています。

事業別スノぴ

現状はアウトドア事業が大半を占めていますが、5年前は9割を占めていたので、他の事業の割合は増えています。

スノーピークは海外にも進出しています。地域別売上についても見ていきましょう。

スノぴ地域別売上png

日本国内の割合が8割と大半を占めています。次いで韓国、アメリカ、台湾、イギリスとなっています。

2.業績分析

まず株価について見ていきましょう。

株価推移スノぴ

スノーピークは上場以来2020年に入るまではそこまで伸びていませんでした。しかしその後少しずつ伸び始め、2021年に入ると急激に伸びていることが分かります。この1年で株価は4倍になっており、時価総額が跳ね上がっていることが分かります。

スノーピークの売上高推移は次のようになっています。

売上高推移スノぴ

10年で売上を5倍にまで押し上げています。競合との比較も見ていきましょう。

売上高成長率スノぴ

競合他社が伸び悩んでいるのに対し、スノーピークは売上を伸ばし続けていることが分かります。

営業利益についても見ていきましょう。

画像5

一度赤字転落したことはあったもののすぐに黒字回復し、業績を伸ばし続けています。なお2021年は1-9月期売上高180億円超営業利益25億円超と、すでに前年を上回っており、決算予想でも過去最高益を大幅に更新することが予想されています。これが2021年の株価上昇に繋がったのではないかと考えられます。

3.成長要因

①外的要因
世界的なキャンプ需要の高まり
コロナ禍により、飲み会や大型イベント、海外旅行などの娯楽は難しくなりました。一方で三密になることもなく、自然を満喫しながら旅行気分を味わうことができるキャンピングやグランピングはその受け皿となり、需要が高まっています。
日本でも国内旅行などは利用者が半減しましたが、2020年のオートキャンプ参加人口は前年比30%減に留まっています。また、キャンプのビギナーの割合は25.9%と前年より3%ほど上がっており、多くの人にとって娯楽の新しい選択肢になっていると言えます。

②内部要因
⑴海外進出
スノーピークはアメリカを始め、海外にも展開しています。特にアメリカ市場を重視しており、社長自らポートランドに移住するなど、本腰を入れています。
アメリカ市場を重視する理由としては、その市場の大きさが挙げられます。日本の年間キャンプ利用者数が約900万人なのに対し、アメリカは1億7500万人と、約20倍です。

画像8

アメリカでの売上は時折伸び悩みもありますが、2020年には初の10億円超えとなっています。マーケットの潜在性を考えると、さらなる成長も期待できます。

⑵ユーザー視点での開発
スノーピークは「自らもユーザーであるという立場で考える」という経営理念を掲げており、製品開発者自身がキャンプ愛好家で、自分自身が本当に欲しいと思うものを開発しています。アメリカならではのユーザー視点を把握するため社長自ら移住することも、この理念が表れています。

独自の金属加工技術
スノーピークは製品開発を自社で行っています。一方で製造の大部分を、本社周辺の燕三条地域にある協力工場に委託しています。燕三条は、江戸時代から続く金属加工の伝統があり、金属製品の製造に必要な人材や設備、ノウハウを持つ加工工場が多く存在します。また、開発担当者に職人の製造技術を学ばせたりしており、ノウハウが蓄積されています。

⑷コアユーザーの獲得
スノーピークにはスノーピーカーと呼ばれるコアユーザーが存在し、彼らは顧客全体の6%ほどであるにも関わらず、売上高の20〜30%を占めています。また、彼らは商品を購入するだけでなく、口コミなどで商品を宣伝し、広めることで、キャンプ初心者による購入をも促しています。

4.今後の展望

スノーピークは独自の加工技術やユーザー視点での開発により、コアなユーザーを獲得することで、売上を伸ばしてきました。一方で売上に占める国内の比率はまだまだ高く、今後の国内の市場規模の縮小を鑑みれば、海外比率を上げていくことが必須になるでしょう。実際、海外にも目を向けており、特にアメリカ市場への本気度が伺えます。今後は海外で多くのシェアを獲得できるよう注力していくのではないかと考えられます。

5.まとめ

-スノーピークは近年売上、営業利益を大きく伸ばしており、時価総額を大きく伸ばした。
-ユーザー目線での開発や独自の加工技術によりコアユーザーを獲得し、売上を伸ばした。
-今後は海外を中心に売上を伸ばしていくと考えられる。

この先海外進出が進む中で、燕三条の金属加工技術が世界に知られるのではないかと思うと、楽しみで仕方がありません。今後の動向に注目していきましょう!

JAFCOのウェブサイトでも企業家の皆様の役に立つ情報が発信されていますので、ぜひこちらもご覧ください!

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