逆境を乗り越えた企業②〜ソースネクスト〜

こんにちは!
JAFCOインターン生の加藤です。

研究室に入ってから英語を使う機会が増えてきたなと感じています。留学生の方とは英語でやりとりをしなければならないのですが、なかなか大変です。言語の壁さえなければ、と思うことは少なくありません。

「逆境を乗り越えた企業」第2回はそんな言語の壁を破るソースネクストについてです!

1.ソースネクストの事業内容

ビジネスモデルソースネクスト

ソースネクストはソフトウェアやハードウェアの企画・開発・販売などを行っています。開発については自社だけでなく、他社に外注する、あるいはライセンスを受けて製品化するケースもあります。
販売チャネルとしては大きく分けて3つあり、スマートフォン通信事業者などへの製品・コンテンツ提供家電量販店での卸売販売、そして自社サイトでの直接販売があります。AI翻訳機「ポケトーク」は家電量販店や自社サイトだけでなく、スマートフォン通信事業者に対しても、ハードウェアの販売やレンタル提供を行っています。

2.業績推移

ソースネクストの株価推移は次のようになっています。

株価推移

2008年頃に株価が落ち込み、その後2013年頃から回復し始めていることが分かります。2018年頃に大きく伸びていることも特徴です。

売上高推移ソースネクスト

売上高推移についても、2008年頃から落ち込み始め、2010年には50億円を割るもののその後少しづつ回復し、2018年には100億の大台を超えていることが分かります。

営業利益推移ソースネクスト

営業利益についても、2008年に26億円もの赤字を出すものの、その後少しづつ回復し、2011年には黒字、2013年には赤字転落前の水準に戻っていることが分かります。

自己資本比率

2008年は自己資本比率が6%、2009年は4%と、非常に低い水準となっていました。しかしその後は回復し、現在は50%以上を維持しており、健全な財政状況であると言えます。

3.業績不振の原因

2008年と言えばリーマンショックが起こった年であり、世界的な金融危機に陥りました。家電量販店をはじめとする各小売店の在庫調整が急速に進んだ結果、ソースネクストも出荷数が大きく伸び悩みました。そのため売上高が大きく減少し、営業利益も約26億円もの赤字となりました。その後も、消費者の節約志向は続き、2010年までは赤字で推移していました。

4.黒字転換への施策

ソースネクストはこの赤字転落と危機的な財政状況を受け、様々な施策を講じました。

施策ソースネクスト

①低価格路線
「ウイルスセキュリティZERO®︎」は元々更新料が0円で、ランニング費用を押さえ込むことでユーザーを獲得していました。しかし、初期導入費用の価格訴求力を上げるため、従来の3990円から1980円とほぼ半額に価格を改定しました。その結果、シェアを約16%から約20%になるなど、ユーザーの拡大につなげました。

②新規路線
ソースネクストは、新しいPCやスマートフォン、タブレットに対応するため、マルチデバイス対応に向けた研究開発を行っています。2011年には、英語学習アプリ「超字幕」のiPad版の発売を開始し、App Store iPadアプリトップセールスランキングで1位を獲得しました。
また、既存ユーザーへの販売を目的として、製品内で新たなコンテンツを追加することで、さらなる増収を目指すといったことも行いました。

これらの他にも、クラウドサービスのパッケージ販売や広告展開などいったものも開始しました。

③在庫の削減
製品パッケージ在庫の稼働基準や生産プロセス、出荷プロセスの見直しを行うことで、在庫の適正化を図りました。その結果、2009年では5億8300万円だった在庫金額が、2012年には6300万円になるなど、大幅な削減に成功しました。その結果、保管費は2009年から2012年にかけて、8600万円から1400万円となり、削減に成功しました。

④販管費、一般管理費の削減
外部委託しているサポート業務やITシステム維持管理費などの業務委託費や人件費、販管促進費や広告宣伝費などを中心に削減したことで、2008年では65億7200万円だった販管費、一般管理費は、2012年には27億1600万円になるなど、約38億円もの削減に成功しました。

5.これからの展望

ソースネクストはこのように様々な施策を講じることで、金融危機を乗り越えることができました。2018年には、AI翻訳機「ポケトーク」が好調であることもあり、リーマンショック以前の水準を超える売上を達成することが出来ました。今後も商品の改良やマルチデバイス対応などを行っていくことで、さらなる飛躍を遂げるのではないでしょうか?

6.まとめ

-ソースネクストはリーマンショックの際、大幅な赤字を出した
-低価格路線やマルチデバイス対応、販管費などの削減といった策を講じることで、黒字回復を果たした
-現在ポケトークが好調であり、リーマンショック以前を超える売上を達成した

販管費・一般管理費の削減で、4年間で約38億円も削減したことについては驚きが隠せませんでした。一方でただ無駄を減らすだけでなく、拡大路線にも舵を切ったからこそ、生き残ることが出来たのではないかと感じました。今後も目が離せませんね!

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