【結局は顔でしょ】サイダーのラベル作成奮闘記(前編)
▼1話目は以下からお読み頂けます(本記事は9話目です)
前回:ヨロン島の特産品を原材料に入れた
ヨロン島内には、いろいろな名物や特産品があります。
今回手掛けたヨロンブルーサイダーには、絶対にヨロン島の特産品を何かしら入れたかった!
じゃないと、ヨロン島の飲み物とは言えなかったから…。
最終的に、特産品としては「ヨロン島の塩」を選びました。
なんで塩を選んだか、については第8話で細かく説明していますので、ぜひご一読くださいませ。
ちなみにおさらいですが、サイダー作りの流れは、以下のとおりです。
サイダー製作の流れ
第5フェーズ:商品パッケージの決定
ヨロンブルーサイダーは2023年に第1弾を販売し(3ヵ月程度で販売停止になった)、2024年に第2弾を販売しています。
なぜ、第1弾が販売停止になったか、については、別の機会で語りますが、どちらにしても製造業者さんを変更せざるを得ない理由がありました。
新しい製造業者さんから、ラベルデザインをリクエストされた際、せっかく第2弾を出すのだから、第1弾のラベルよりもさらに工夫して良いものにしよう!と思った結果が以下、完成版のラベルです。
2023年第1弾:ヨロンブルーサイダーのラベル
2024年第2弾:ヨロンブルーサイダーのラベル
第2弾のラベルはマイナーチェンジという感じでしょうか。
第2弾ラベルは若干縦長になったので、波をイメージした模様を2重にし、デザインに締まりを与えました。
あとキャッチコピーに「ちょうどいい甘さ」を追加することで、甘すぎないアピールを行ったことも変更点として挙げられます。
ラベルデザインの経験は皆無
今回私は、ヨロンブルーサイダーのラベルデザインを行いましたが、これまでラベルをデザインしたことはありませんでした。
では、なぜ今回自分でデザインをすることにしたのか?
答えは「ヨロンブルーサイダーは全て自分で完結させる」という決めごとをしたから。
飲料開発のプロに頼むのではなく、全部自分でやり切ることを決めたんです。
それはヨロンブルーサイダーのラベルだけじゃなく、サイダー本体の商品開発、原材料の検討、販売経路開拓、諸々全てに及びます。
なぜプロに頼まなかったのか
結論は、めちゃシンプルです。
与論ファン、自身を応援してくれる方々に対して「思いのこもった商品を届けたかったから」です。
プロの方に委託すること=思いがこもっていないわけではありませんが、より自分のこだわった出作り感を出すため、今の自分にはプロに委託する選択肢はありませんでした。
あと、ヨロンブルーサイダーをヨロン島定番のお土産にする目標もあるので、自分で作ったほうが思い入れも深くなって、愛着が湧きますし。
ラベルデザインの制作の流れ
私がラベルデザインを完成させた流れは以下です。
それでは一つ一つ深堀って行きましょう。
1. マーケット調査
マーケット調査の中では、主にサイダーを取り扱っている競合他社の商品、サイダーのトレンド、消費者の好みを調査しました。
調査対象、調査項目は以下です。
100以上の炭酸飲料水のラベルを調査したところ、ある共通点が浮かび上がってきました。
・全体のイメージカラー
サイダーは青系のラベルが多かった
・フォント
サイダーの前面のフォントは、ゴシック体、明朝体が多めだが、ポイントになるキャッチフレーズは「手書きフォント」が使われている商品も複数存在していた
・ラベル上のロゴやマーク等
より視覚的かつ分かりやすいよう、ロゴやマークが「爽やかな夏感のある」商品が多かった
2. 購入ターゲット層の定義
ラベルを訴求するターゲット消費者層(年齢、性別、嗜好)を設定する必要があります。
結論として、以下のように設定しました。
なぜ上記のように設定したか。
私は、ヨロン島の観光大使として、日々SNSでヨロン島の観光情報を発信しています。
インスタグラムの機能には、どういう層のフォロワーさんが多いか、というデータを見ることができ、その情報を参考にしました。
私のフォロワーさんは、30代~40代が多く7割が女性です。
しかも、ヨロン島が好きな方しか私をフォローしていません。
その方々の心に、刺さるような塩サイダーを作ることを意識しました。
3. コンセプト決定
ラベルのコンセプト(方向性)は以下に決まりました。
『とにかく映えるラベルにする』
ヨロンブルーサイダーは、ただ単に飲んで美味しいサイダーじゃなく、構想段階からSNSに投稿したくなる商品にすることを考えていました。
現地ヨロン島で、ヨロンブルーサイダーを買ってくださったお客さまは、絶景ビーチと一緒にヨロンブルーサイダーを写真におさめてくださいます。
完全に計算通りです笑
あとは、ご自宅でヨロンブルーを楽しんでもらうことも商品コンセプトの一つのため、家に飾ってもダサくないラベルにすることも意識してデザイン案をいろいろ考えました。
結果、以下のように多くのお客さまが写真を送ってくださいます。
その他、コンセプトを考える内容として、商品の特徴(味、見た目、材料、成分、産地)などをデザインに反映させることでコンセプトを決めることもできます。
4. ラベル制作と要素分解
ラベルの要素を以下に分解して考えました。
では、一つずつ深堀って行きます。
1. コンセプトカラー
コンセプトカラーは、ラベルをひと目見た瞬間に、商品を脳に刷り込ませる重要なポイント。
今回はサイダーですので、爽やかなイメージを与える色として、青・白が候補に挙がりました。
また、食品ラベルのコンセプトカラーでは、フレーバーを反映した色(赤や黄色など)を使用することもあります。
色の選定は、ターゲット層に商品をアピールするために重要な施策で、ラベルを考える上で最初に決めると、ラベル自体の方向性がブレません。
ヨロンブルーサイダーは、青をベースにして、差し色でオレンジ色を入れました。
青色とオレンジ色は、色合いの相性が抜群なんですよね。
青系の色でまとめると、ぼやーっとする印象を与えるので、赤系、オレンジ系の色を入れることでデザインが締まります。
2. ブランドロゴ(商品ロゴ)
サイダーを含め、飲料水のロゴは、製品のブランド認識を高め、お客さまに信頼感や親近感を与えるための重要な要素。
ロゴは自体は、一般的にラベルの真ん中に配置されることが多い印象です。
3. 商品名
ラベルにおける商品名は、ブランドロゴと似たような位置付けですが、サイダーの名前、今回は「ヨロンブルーサイダー」を目立つように配置します。
商品名は視覚的にインパクトを与える必要があり、ターゲットとしている層に親しみやすく、記憶に残るネーミングとデザインが望ましいです。
ブランドロゴの中に商品名が入っているパターン、ブランドロゴと商品名が別々のデザインにするパターンがあります。
デザインとして「ブランドロゴ」「商品名」両者の調和を考える点が、めちゃくちゃ重要です。
4. キャッチフレーズ
製品の特徴や魅力を一言で表すキャッチフレーズは、入れた方が絶対にいい!
確実に購買意欲を引き立てます。
大手が出している炭酸飲料のキャッチフレーズをめちゃ研究しました。
以下、私が「炭酸飲料ぽい!」「良さげ!」と思った大手メーカのキャッチフレーズです。
私がヨロンブルーサイダーに付けたキャッチフレーズは「与論島の海、飲まない?」です。
パッと見的には「与論島の海、飲まない?」よりも「ヨロン島の海、飲まない?」の方が、漢字・平仮名・カタカナのバランスが良くなり、スムーズに脳が認識できます。
ですが、ロゴにカタカナで「ヨロンブルーサイダー」と書いているので、ラベルデザインの全体で考えると、カタカナが多い場合、バランスが崩れて微妙でした。
いろいろ試しましたが、やはりカタカナが多すぎると、しっくりこなかったので「与論島」という漢字に変更しました。
あとラベルのサイドには「ちょうどいい甘さ、のどごしスッキリ!」というフレーズも入れました。
これは、甘さをできるだけ控えめにしたこと、炭酸の、のどごしに爽快感があるということを表したフレーズ。
両方のフレーズとも個人的に気に入っています!
5. 文字のフォント
商品名やキャッチフレーズに使用するフォントは、読みやすさは当然のこと、デザイン性と全体のバランスが求められます。
フォントのスタイルも商品に合わせ、モダン、ナチュラル、エレガント、シック、など商品自体と文字を選び、手に取ったお客さまが違和感を感じないことが重要です。
サイダーのフォントは、マーケット調査でゴシック体、明朝体が多めかつ、キャッチフレーズは「手書きフォント」が使われていたことが分かりました。
ただ、手書きフォントは、文字の線が細いため、デザインを選びます。
今回のラベルにおいては、インパクトに欠けることもあり、後述するグラフィックに使いました。(詳細は後ほど)
6. 味の情報
サイダーの味(例:グレープ、オレンジ、いちご etc…)を強調、アピールします。
お客さまが、サイダーの味を迷わず、すぐに識別できるよう、ラベル全体の色を味のイメージに合わせることも検討しても良いです。
ただ、ヨロンブルーサイダーは、塩サイダーなので、味を強調することはありませんでした。
7. グラフィック、イラスト
飲料の成分やフレーバーに関連するイラストや写真を使用します。
今回、手書きフォントと合わせて、ラベルにオレンジ色のアクセントをつけたいこともあり、キーとなるグラフィックを作成しました。
あとは、フルーツ味のついたサイダーでしたら、その果物の絵や、水しぶきを表現したデザイン等を取り入れることで、商品の特徴や季節感(サイダーの場合は夏感)を視覚的に伝えることも可能です。
8. 商品情報
商品情報に関しては、一部、法的に義務付けられている内容もあり、以下を必ず入れなければいけません。
ただ、上記の商品情報の内容については、サイダー製造メーカーが教えてくれるので、あまり心配することはないので、ご安心ください。
とはいえ、ラベルデザインにおいては、商品情報のスペースをきちんと確保する必要があります。
ラベルのデザインを行う前に、ラベルフォーマットの有無をサイダー製造メーカーに確認してくださいませ。
あと、これは必須ではありませんが、商品情報として二次元コードをラベルに印刷することも有効です。
私は、ヨロン島の観光情報を発信しているインスタグラムアカウントを運用していますので、そのアドレスを二次元コード化してラベルに載せています。
サイダーの製造メーカによっては、二次元コードの仕様を明確に定めていらっしゃる場合もあるので、ラベルフォーマットとあわせて、事前確認を行ったほうが安心です。
以上が、ラベル制作と要素分解でした。
ちょっと、ラベルデザイン制作は、情報量が多すぎて、note記事自体も文字数が想定以上に増えています。
ということで、サイダーのラベル作成奮闘記は、前編と後編に分けることにしました。
次回のnoteは、後編「⑤技術的な要件確認」からお届けします。
詳細はまた次回...。