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オレたちの労働紛争〜さようなら25万円〜

ご無沙汰しております。タンザニアでかろうじてパン屋さんをやっておりますジャクソンです。

またまたタイトルから物騒でどうもスミマセン(笑)久しぶりに大きなネタが入ったのでここに投下することでもって昇華(消化?)を図りたいと思います!

今回は、数ヶ月の長きに亘って、私に頭痛が痛い痛い状態をもたらしていた元マネージャーとの攻防についてでございます。てへへ


消えた2万円


ざっとあらすじをお話しますと、マネージャーと揉めてしまい、労働局に労働事件として通報され、最終的に約20万円の示談金を支払うことになってしまったということです・・・。(弁護士の費用とか諸々入れて25万円ほど失ってしまいました)

これも諸先輩方にとっては「あ〜誰もが通る道だよね♡」といったところでしょう!私もこれでもって一人前のアフリカビジネスマンの仲間入りかもしれません(?)笑


ことの発端は昨年末に遡ります。弊社はパン屋という事業柄、日頃現金での取引が多くを占めています。Accountantの業務も兼務してくれていた彼女には、その管理を任せていました。もちろん、1日の終わりに私と共に確認作業を行っていました。

しかし、たまに、そのキャッシュの収支が合わないという事件が発生していました。仮に日本の店舗で起きてしまったのなら血眼になって探しまくり、原因がわかるまで監視カメラを凝視し、場合によってはマネージャーが責任を取らなくてはならないあの恐ろしいアレです。(某ハンバーガー店での度重なる経験がポテトの音と共に蘇る〜w)

とはいえ、弊社のオフィスに監視カメラはありません。。どこかで落としてしまったことにして、やり過ごす日も少なくありませんでした。

そして、2020年末、ついに2万円ほどの大きな金額が突如消えました。

もちろん、監視カメラがない限り誰がやったのかはわかりません。私の監督不行き届きですので、特定の誰かを責めることはできません。ただ、そのとき、その現金に触れられる可能性があったのは私と彼女の二人だけだったのも事実・・・。

あまり考えたくはありませんでしたが、それから彼女を疑わずにはおれなくなりました。

その一回だけであれば、目を瞑ろうとも思ったのですが、彼女の勤務態度がしばらく芳しくなかったことや、なくなってしまった約2万円について「たった2万円くらいのことでガミガミうるさい!」と、Accountantとしてはあるまじき発言を平気な顔でしてのけたことが彼女の解雇を後押ししました。


スムーズな解雇は難しい

しかし、コロナ真っ只中で失業者が続出するダルエスサラームです。うちのお給料がめちゃくちゃ良いというわけではありませんが、少なくとも正規雇用で保険もちゃんと払ってもらえる会社は多くはないため、うちのポストはなかなか良い条件だったのだと思います。

(弊社の条件が当たり前の社会になれば良いのですが、現実として、多くの企業は社員の保険を支払っていなかったり正規雇用でないところがほとんどです)

そんなわけで、彼女はもちろん、なんとしてでもうちでの仕事を辞めたくないわけです。

さて、全世界どこもそうだと思いますが、タンザニアでも会社が人を解雇するのは少し厄介です。というのも労働者の権利がちゃんと保証されているから!労働者にとってはスバラシイ!のですが、企業にとっても同じとは残念ながら言えません・・・。

タンザニアでは以下のことを必ず守る必要があります。

・解雇前にWarning Letterを3回出していること

・もしくは、むこう1ヶ月分の給料を追加で渡し即時解雇

・どちらにせよ、弁護士と共に解雇される従業員のサインが必須!

我々の場合は、彼女の勤務態度の件でWarning Letterを既に3回出していたのでそれでもって解雇とさせていただきました。

しか〜し!タンザニアビギナーのジャクソンは、あろうことにここで、致命的なミスを犯します。

弁護士を呼ばずに、彼女と二人で解雇の手続きをオフィスで行ってしまったのです。

元々彼女を知り合いに紹介してもらっていたこともあり、壊滅的なヤバイことは起こらないだろうと思い込んでいた、いや、そっちの方が楽だから、と信じようとしてしまったのだと思います。とにかく、今考えたら甘すぎて右ストレートを食らわせてやりたくなりますね。(笑)


彼女は辞めないで済むよう、私を説得にかかります。(これまで「私は一生懸命仕事をしている!なくなった現金についても何も悪くない!」の一点張りだったのに、急に「悪かった」と手のひらを返したように平謝りしだしました)

一方の私は、これまでも彼女との間にこういったことが発生していたため、心を鬼にして今回ばかりはもう終わりだと自分に言い聞かせ、これ以上一緒にやってはいけない旨を伝えます。

結局二人は折り合いがつかないままでした。ついに彼女は、解雇通達レターにサインをしないままオフィスを出て行ってしまいました。(ついでにオフィス用スマートフォンをとって出て行きなすった・・・笑)

お察しの通り、こういった形でお互いが納得しないままこの手続きを進めてしまうと、無事、労基へと連行される道が拓けるというわけです♡


労働局から初のお呼び出し★


彼女が弊社を去ってから1週間後ほどした頃でしょうか(2月初旬)。労働局からお達しが届きます。そこにはこう書かれていました。

・不当な理由で解雇されましたッ

・納得いかないことこの上なしなので約40万円程度を支払えください

・ついては、労働局にて労働審判が行われるため、○月○日に出てこい

と。


はああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜????????

てなりました。(笑)

この時点で私も知り合いに頼み、この手のことに強い弁護士の方に調停の依頼をしました。

労働局での審判前に弁護士さんに相談したところ、

・約40万円という金額は高すぎる、できるだけ弊社から金をふんだくろうとしていて、なんちゃんって弁護士に依頼してテキトーに話をでっち上げているに違いない

・プラス1ヶ月分の給料を支払うだけで終了できるはず

ということでした。追加で1ヶ月分の給料を支払うことすら正直嫌だったのですが、揉め事は精神が削られるので、できるだけ早く終わらせたい、という思いでした。


さようなら25万円ぴよぴよぴよ


いろいろとありましたが、吐きそうな思いで労働局へ出廷?した日、審判は結局20万円もの示談金を彼女に支払うことで終了しました。

正直はらわた煮え繰り返りそうな思いでしたが、しょうがありません・・・。物騒な事件も多いダルエスサラームで、自分の命が残っているだけでも、いるかわからない神様に感謝しようと思うことにしました。南無!

ここで愚痴を吐くことを許していただきたいのですが、、、

一番腹立たしかったのは、労働審判員が私の話を聞く際、あからさまに聞く耳を持ってくれなかったことでした。。

50代と思しき女性の審判員は、面倒くさいという思いを隠しもせず終始スマホでチャットに興じていました。初めから外国人の私から金をふんだくるつもりなのは100歩譲って覚悟していたのですが、円満解決に見せるためにせめて役者であってくれよ・・・と泣きたくなりました。涙

我々の言い分(彼女にこれまでWarning Letterを3回渡していたこと、現金が消えた事件、勤務態度がよろしくなかったこと)はもちろんまったく聞き入れてもらえず。

何の論理的考察もなされぬまま、一体何が酌量されているのかわからないまま終了です。とにかく「お互いに悪いところがあったのだから、初めに請求された40万円から互いに譲歩して半額で終わらせましょう」と。

こちらの落ち度は弁護士を入れなかった点だけなので、それらを加味しても意味不明の請求金額の半額も支払わなければならない理由がまったくわからない。。。のですが、郷に入ればあれこれですね、しょうがないッッ!笑


争いごとはヒトのHPを削る

今回の件で一番傷ついたのは、元マネージャーが彼女の言い分を私の弁護士に電話で伝えるときに(スピーカーにして電話前に弁護士と私は一緒にいました。)「彼女(わたしのこと)はすごいレイシストだった。ずっと耐え難いと思っていた」と発言したことでした。お金の為とはいえ、多分一生忘れられません。。。


自分とは全く無縁だと思っていた言葉で自分を表現されたことに驚き、しばらく感情が迷子になったのちにひどく悲しくなりました。

彼女に緊急の金が必要だと言われた時は担保なしに貸したし、子どもがまだ小さいことも承知していたので勤務時間も他の人より2時間短いのは許可していたし、ほかにも数え切れないほど色々ありますが・・・とにかく彼女を心底信頼していました。レイシストだと言われるようなことをした覚えはありません・・・。


アフリカ大陸の歴史は、奴隷貿易に始まり現在まで、不当に人種差別を受けてきた事例には事欠きません。そんな歴史を知り、現代にまで続く負の連鎖を止めたいという思いが、僭越ながら私にも幾ばくかあります。加勢する側ではなく、止める側でありたいとずっと願ってきました。そういうつもりで人に接してきました。それなのに・・・。


人にはそれぞれの物語があるので、私の話も、もちろん私サイドの言い分です。それでも、レイシストはひどいよ〜〜〜〜〜とさすがにしばらく落ち込んでしまいました。涙



ぐちぐち書いてしまいましたが、2021年5月11日をもって、ついにこの件は全ての支払いを終え、ここで記事にすることで闇に葬り去る準備が整いました。ぱちぱちぱち!

考えてみたら、今年1月から約4ヶ月に亘って続いていたのですね。どこで何をしていても(時には寝ている時でさえも)、ふと思い出しては身体を暗い陰で覆ってしまうようなネガティブおばけに纏わり憑かれていたような気がします。

正直、お金うんぬんよりも、争っている間の彼女との不毛なやりとりや、相手の弁護士から送られてくる脅しメッセージにメンタルをやられました・・・。

今回の件で、信用していた方に思いもよらぬ形で裏切られてしまうのは、想像以上に身に堪えるものだということを知りました。


それでもなんとか生きていられたのは、同じような経験があるタンザニアの先輩方が「よくあることだから!(笑)」と笑い飛ばしてくれたからです。(私のケースなんか屁とも思えないような金額の労働紛争案件について話しながら朗らかに笑っていて化け物かな、と思いました。)

弁護士さんも「今回は運が悪かっただけだから。次からはこうならないように細心の注意を払おうぜ!」と励まし続けてくれました。

余談にはなりますが、弁護士さんが示談に持ち込むための話し合いの際に、元マネージャーに対して(私が頼んでもいないのに)

「君がこうやって不当にお金をとろうとすることで引き起こる二次的な災いのことを考えて欲しい。彼女はほかにも従業員を抱えているし、それぞれの従業員だって家族がいる。君が会社から取ろうとしているお金は決して君だけのものではないんだよ。」

と感動的なスピーチをしてくれました。横で聞いていて泣きそうになりました。

苦しみが訪れるたびに思い知りますが、私は周りの人にはすこぶる恵まれています。おかげさまで私は一人ではないのかもしれない、と前を向くことができました。(with サバンナにて夕焼けに照らされる父ライオンの強い眼差し)


さいごに、タンザニアの友人にかけてもらった言葉がとてもポジティブで印象的だったので紹介します。

「Una bahati nzuri! Maisha yanaendelea!」

キミはついてるよ、人生は続いてくからね!と言う意味です。

オブラディオブラダで有名なあの曲の、癇癪を起こした子どもが叩いたようなピアノの前奏が脳内で駆け抜けました。

少なくとも素晴らしい重要な教訓を得ることができたので、この事件も糧にタンザニアで強く生きて抜こう!という思いを胸に、また前進します。


追記:

労働局へ行く前に、彼女の弁護人を名乗る方から数度電話があり「労働局へ出向く前に話し合おう」と言われました。

自分の弁護士に相談し、結局彼女の弁護人に会いに行くことはありませんでしたが、勝手をよくわかっていない外国人の私を脅して、労働局でのやり取りとは別に現金をふんだくってやろう、というよくあるやり口だったそうです。そんな話初めてきいた私は震えました。ニンゲン、こわい(笑)

もう一つ。彼女が出て行く時にオフィスのスマホを持ったまま出て行ってしまって大層困ったのですが、労働調停中にちゃっかりそのSIMカードを使ってモバイルマネーで金を借り(会社のお金!w)後日しっかりその金を請求されました。(※もちろんこういうことは労基では聞いてもらえない)ほんと、ちゃっかりなんだから!もう!ぷんぷん♡


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学歴のないストリートボーイたちに職をつくるために、タンザニアでパン屋をはじめた人です。波乱万丈な日々の中で思うあれこれを記します。