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冬の短歌⑮(Advent Calendar 2023)

ポンデリングと球根を買うそよ風がいつもどおりに吹いている朝

隣家の朝顔が妙に元気が無い。いままでは冬だって綺麗に咲いていたのだ。訊ねてみると主人が代わり世話が滞っているのだという。不憫に思いその朝顔を譲り受けることにした。水を与え肥料をやるとたちまち朝顔は瑞々しさを取りもどした。葉が繁り蔓は天に向かってどこまでもどこまでも伸びていった。やれやれとわたしは縁側で酒を飲みそのまま眠ってしまった。
気がつくと朝顔がしきりに訴えている。蔓の先で遊んでいた蕾たちが帰って来ないのだという。ははあん、遥か上の方で迷っているのだな。わたしは蔓をどんどん手繰り寄せ、どんどんどんどん手繰り寄せたものだから、雲の上の巨人の城で遊んでいたジャックまで引き寄せてしまった。

https://adventar.org/calendars/8598


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