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植物園(PEPSI)

凶眼の副園長の眼を盗みぼくらは温室を開け放つ

K植物園、三月。がらんとした園庭、ベンチで本を読む。しかし静けさと倖せは束の間だ。広場の向こうに遠足のこどもたちが現れる。ひとりの女の子が近づいてくる。
「ねえ名前をおしえて」いきなりだ。
ジャックですけど。
「ちがうわよ。あの黄色い花のこと」
サンシュユだと教えると満足そうに帰ってゆく。
と、振り向いて少女は「ペプシ」と言った。彼女の名前?それともアイサツのようなもの?たとえばじゃあね、さよならのような?

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