見出し画像

Lemonadeがペット保険に参入。アメリカのペット向け消費額は750億ドルを超える巨大市場、日本もアニコム筆頭に拡大中なのでついでに市場データまとめ

先日IPOを果たした保険会社「Lemonade」がペット保険に参入するようです。

Lemonadeがペット保険に参入。既存の家財保険ユーザーの70%はペット有り

Lemonadeのペット保険は犬と猫が対象で、月額12ドルからの提供。既存の家財保険契約者であれば10%の割引を受けられます。

Lemonadeの住宅・賃貸人保険を既契約顧客の約70%はペットの所有者でもあるそう。これまで家財保険しか扱っていなかったので、納得感のある事業展開です。

IPOを果たしたLemonadeの株価は高騰中

lemonade_stock_-_Google_検索

Lemonadeは7月1日にNYSEへ上場し、初日から公開価格+100%以上の高騰。今回のペット保険参入後にも上昇し、時価総額は47.2億ドルまで高まっています。

2020年1Qの売上は2,620万ドル(前年比+138%)で、年間ランレート約1億ドル。売上の2倍以上の赤字を垂れ流している状況下でも市場からの期待値は大きい。

アメリカのペット支出は年間8兆円。だけどペット保険加入率は1%程度。ペット保険市場はTrupanionが牽引

Fortuneによれば、アメリカのペット消費額は年間750億ドル、約8兆円に及びます。

画像2

Trupanion May Investor Presentation

ただ、アメリカでペットを飼っている人のうちペット保険加入者は1%~2%程度。世界全体のペット保険の市場規模は2018年時点で60億ドルほどあり、今後8年間のCAGR(年平均成長率)は8%、2026年に市場規模は112.5億ドルまで拡大する見通しで大きな成長ポテンシャルがある市場の1つです。

アメリカ最大のペット保険会社「Trupanion」も右肩上がりに業績を伸ばしています。

画像3

Trupanionは1999年の創業から20年以上もペット保険を提供しており、2020年3月末時点の契約数は68万7,000件に到達。件数ベースの月次継続率は98.59%を誇ります。

2020年1Qの売上は1.11億ドル(+27.9%)、調整後の営業利益1,200万ドル(オペレーティング・マージン11%)を稼ぎ出しました。

画像4

月次ARPUは58.22ドルとLemonade(12ドル)の約5倍という水準。Lemonadeの保険は価格勝負でユーザー獲得を優先し、IPOで調達した資金をフルスロットルで投じていく感じですね。Lemonadeの勢いがどこまで続き、どうやって黒字に持っていくのか、今後が楽しみ。

Trupanion_stock_-_Google_検索

Trupanionの株価は2014年の上場から4倍以上に上昇。時価総額は17.4億ドルで、Lemonadeよりも小さいです。

日本のペット保険市場も2ケタ成長続く。アニコムが市場シェア55%でトップ

ペット市場は日本でも盛り上がってきています。

ペットビジネスに関する調査を実施(2020年)___ニュース・トピックス___市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

矢野経済研究所の調査では、2019年度のペット関連総市場規模は前年比+1.7%増の1兆5,700億円となりました。2021年度には1兆6,257億円に達する見込みです。

画像6

ペット市場が拡大する一方で、犬と猫の飼育頭数は人間の子供と同様に減少が続いているという状況。

画像7

食費、医療費を中心に1頭あたりの支出額が大きくなっていることが市場の成長要因となっています。

背景にはペットの高齢化があります。10年前に比べて犬、猫ともに人間換算で4歳前後も寿命が伸びており、ペット業界にも高齢化&医療費問題が到来しているようです。

PowerPoint_プレゼンテーション-60

アニコム グループ 中期経営計画 2019-2021

ペット保険市場は毎年2ケタ成長を続けており、2020年には874億円まで拡大すると推計されています。それでも普及率は9%にとどまっており、アメリカと同様に成長ポテンシャル大。

日本のペット市場をリードしているのはアニコムで、シェア55%を握っています。

PowerPoint_プレゼンテーション-61

アニコム グループ 2020年3月期 決算補足説明資料

2020年3月期の経常収益は前年比+15.7%増の414億6,500万円と堅調。

PowerPoint_プレゼンテーション-63

PowerPoint_プレゼンテーション-62

2020年3月末時点の保有契約数は81.6万件と、Trupanionの68.7万件より10万件以上も多いです。既契約の継続率は87.2%で、Trupanionより10ポイントくらい低め。対応病院数は6,466病院まで拡大しました。

アニコム_株価_-_Google_検索

株価はここ5年で約2倍に上昇しており、5月末には時価総額が1,000億円を超えました。現在は少し落ち着いてきて、時価総額は892億円ほどです。

2019年度決算説明資料

アイペット損害保険 2019年度決算説明資料

業界2番手「アイペット損害保険」も好調。2020年3月期の経常収益は前年比+22.7%増の183.3億円と計画を上回るペースで業績を伸ばしています。

画像14

アイペット損害保険 中期経営計画 2020年度-2022年度

保有契約件数は50万件を突破し、市場シェア25.1%に上昇。着々とアニコムを追い上げています。

アイペット_株価_-_Google_検索-2

株価は2018年の上場から横ばいで、時価総額は214億円ほどです。シェアを伸ばしているアイペットよりも侵食されているアニコムのほうが市場の評価は高い。

J-GAAPベースでの経常利益率を比べると、アニコム5.3%に対してアイペットは2.3%で、収益性に対する評価が表れているといえます。

今後もペット関連市場は要注目。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?