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BCG発表「The 2020 Value Creators Rankings」、2位と3位は中国の白酒メーカー。「貴州茅台」の時価総額はコカ・コーラを抜いて世界1位に

ボストン・コンサルティング・グループが「The 2020 Value Creators Rankings」を発表しました。

TSR1位は3年連続でNVIDIA。時価総額は2,183億ドルとIntelに猛追

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2019年までの5年間における企業価値創造に優れた大型企業ランキングを発表

1位は3年連続で半導体メーカー「NVIDIA」となりました。時価総額は2020年5月29日終了時点で2,183億ドル。業界1位「Intel」(時価総額2,665億ドル)を猛追しています。

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NVIDIAの株価はここ5年で16倍以上に高まっています。コンシューマー向けGPUのイメージが強いですが、データセンターやAI向けチップなどデジタル社会インフラに不可欠な領域を主導する存在となっています。株価推移も時代の変化を映し出しているように感じます。

TSRの算出方法

ここであらためて、「The 2020 Value Creators Rankings」とは、2019年末時点での時価総額上位200社を対象として、2015~2019年の年平均トータル・シェアホルダー・リターン(TSR、株主総利回り)をBCGが独自算出したランキングです。

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The Components of TSR

TSRは「ある一定期間における配当(キャッシュフロー)と株価の値上がり(キャピタルゲイン)による総利回り」で構成されます。

2位・3位に入ったのは中国の「白酒」メーカー

再びランキングを確認してみます。

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最新の2019年版ランキングには、日本のリクルートホールディングスも10位にランクインしました。そのほか、「Netflix「や「Amazon」、「Adobe」といった米国テクノロジー企業、「Adidas」「Kering(Puma等)」という世界的アパレル企業、金融業界からはロシアの「Sberbank」が名を連ねています。

そして、今回注目したいのが、2位と3位に位置している中国企業です。「Kweichow Moutai」「Wuliangye Yibin」がどのような企業なのかというと、いずれも「白酒」を製造する飲料メーカーです。

白酒とは中国で生まれた蒸留酒のこと。

トウモロコシ、キビ、麦などの穀物を原料とし、中国では最もポピュラーなお酒としてお祝いの席などで飲まれています。アルコール度数が40度〜60度前後と非常に高いことが特徴。自分もIT企業在籍時に中国出張で白酒を飲ませていただく機会があり、現地メンバーに合わせて乾杯時に一気飲みして卒倒しそうになりました。。

記事によると、白酒の起源は宋代初期頃(900~1000年代)にまでさかのぼります。本格的な製造が始まったのは清代中頃(1700~1800年代)からだとされます。

白酒はウイスキー・ブランデーと並んで「世界三大蒸留酒」の1つとして挙げられ、世界的な人気上昇や品薄などの影響で価格が高騰傾向にあるようです。

「貴州茅台」の時価総額は約26兆円。貴州省のGDPを超え、コカ・コーラを抜いて飲料メーカー世界1位に

白酒にはいくつかのブランドが存在し、最高級品の1つが「茅台酒」です。

贵州茅台集团

貴州茅台酒

今回のTSRランキングで2位となった「貴州茅台(Kweichow Moutai)」はその名の通り貴州省に拠点を置く白酒メーカー。1999年に創業され、2001年に上海証券取引所へ上場しました。

「茅台」は貴州省の北西部にある地名で、茅台特産のモロコシである「高粱(カオリャン)」を原料とします。高温多湿な気候を利用し、蒸留後は3年以上も発酵させるそうで、全工程には5年近くかかるとのこと。ワインのような年代物もあり、価格が高騰する一因となっています。

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ここ5年で「貴州茅台」の株価は5.4倍に上昇。現在の時価総額は1.72兆元、日本円にして26兆円です。2020年5月29日終了時点で日本トップである「トヨタ」の時価総額22兆円を上回りました。

統計局のデータによると2018年の貴州省のGDPは1.48兆元であったため、茅台1社の時価総額が貴州省を超えたことになります。

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さらには「ペプシコ」(時価総額1,825億ドル)「コカ・コーラ」(同2,005億ドル)も抜き去り、貴州茅台は世界で最も時価総額の高い飲料メーカーとなってしまいました。1年前にこのランキングを見て茅台を知ってからさらにすごい状況になっていて驚きを隠せません。。

世界名酒·五粮液

(五糧液)

TSRランキング3位の「五糧液(Wuliangye Yibin」も白酒ブランドの1つで、5種類の穀物(高粱、もち米、うるち米、とうもろこし、小麦)を原料していることから名付けられました。中国では茅台酒よりも人気があるとされているそうです。自社サイトでは自ら「世界名酒」を謳っています。

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五糧液の株価も高騰しており、現在の時価総額は5,753億元(約8.6兆円)となっています。

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世界最大のビールメーカー「ABインベブ」の時価総額は798億ドルと、もう少しで五糧液が上回りそうです。

白酒は偽物が出回ることも多く、両社のブランド価値は年々高まっているようです。若干バブルのような印象も受けますが、自分も何か良いことがあったら白酒を飲みたいなと思いました。

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