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白衣の天使の裏

「○○さんの髪の毛乱れてるから洗ってあげて。」

私は一応急性期病棟にいる。
一応とつけたのは、看護師が少なく医者も一人しかいないので
それでまかなえる病状・人数で、全員が急性期というわけではないからだ。
でも町に一つの病院としてだったり、昔から仲良くしている診療所の紹介で入院している患者様も少なくない。


お腹に病変がある患者様がいた。病気や処置の影響でお腹が痛くなったり、全身に炎症が起き熱のアップダウンを繰り返す。そんななので安静の指示も出る。

本日安静が解除され初めてお手洗いまで歩いた。

それまでの数日間、熱のアップダウンで汗をかいたりを繰り返していた。
そのため、寝間着が汚れていたり、髪の毛も何日も洗えていなかったので汚れていた。
でもその保清もできないくらい患者様は体がしんどかったし、私たち看護師も保清の優先順位は下だった。

その患者様が今日歩き出し、それを見た看護部の上司がナースステーションで発した言葉がある。


「髪の毛汚れてるから洗ってあげて。」


点滴を作っていた私は時が止まりました。

いつから安静度解除されたか知ってるの?
まだ急性期脱してない患者に対して言う言葉がそれ?
この人の病気分かってるの?
なんで今日までこんな状態になったと思ってるの?


この一言で現場は凍りつきます。

上司がいなくなった後の愚痴大会。


いつものパターンです。

これがね、現実なんです。


そんなの言われなくたって分かってます。

午前の検温の時、今日保清をしましょうかと提案しましたが、
緊急入院3人に、検査出し、気が付いたら17時。

患者様に今日はできませんでした、ごめんなさいと謝りに行こうとしたら
患者様は眠っていました。


できないことを言いたいわけでもないです。
上司が悪い話でもない。まあひどいけど。

看護って、私たちが普段普通にしている
呼吸や食事、排泄が安楽にできる
保清をし綺麗な空気・環境で過ごすことのお手伝いをさせていただくことです。

なぜこれが普通にできなくなるかというと、原因に病気があるから
そこの治療を医者とやっていくのです。
だから看護師は医者のお手伝いも仕事の内容に含まれます。

1.普通に過ごすためのお手伝い
2.普通に過ごすことができない原因・病気の治療のために先生の手伝い

これが看護師の仕事の2本柱です。


でもこれを達成するには
手だけじゃ足りないです。
頭だけじゃ足りないです。

人間が起きている起きている間だけじゃ時間は足りないです。


患者さんを守るには、守る私たちが健康で、穏やかでないといけないです。
でも難しいんです。

難しいんです。


あれもこれもはむり
どこか削ることが必要
満足に看護なんてできないです。

落ち着いてカンファレンスなんてしたらどこかがおろそかになったり
保清に時間かけていたら他の患者様に行き届かなくておろそかになったり。



なにが言いたいのか分からなくなりましたが
純粋に看護がしたいです。

したいけどできない。この現実が嫌で常勤は離れます
でも頑張りたいって言う自分もいる。

できるものならみんなで協力して、患者様に向き合いたいです。

あれができない、これもできなかったと思って仕事はしたくないなと思います。
もっと、人を大切にしたいです。
患者様も、スタッフも、自分のことも。



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