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その他大勢から唯一の人へ@ケアワーカー送り出し国からのレポート

昨年立ち上げた再チャレンジプログラム(Grasp Second Chance)から、合格者が誕生しました。

日本で介護職として働くために必要な、日本語基礎テスト(JFT)と介護技能&介護日本語評価試験のそれぞれに合格。日本で働くためのスタートラインに立つことが出来ました。

私は、彼女たちが日本語力ゼロの時から伴走してきました。全ては、このプログラムを成功させて、努力した人がちゃんと報われる仕組みを作りたかったからです。


家事代行の面接会では、応募条件に日本語力が問われないため、数百人単位で応募者が集まります。したがって、面接会では、一人一人の候補者と時間をかけて話す余裕はありません。

最終面接の様子

散々待合室で待たされた挙句、流れ作業のように次から次へと面接室に案内され、数分の持ち時間で自らをアピールし、不合格になって帰宅する、というのが大方のパターンです。


不合格になって帰宅する候補者たち

私は裏方からこの光景を眺めていて、胸が痛みました。採用人数に限りがあるため、仕方がないことではありますが、もう少し彼女たちの想いや、やる気を汲み取ることはできないものだろうか、と。

人を粗末に扱うと、必ずしっぺ返しが来る

私の、それほど短くない人生経験から得た教訓です。自分は今、たまたま「選ぶ」側にいますが、この先自分が「選ばれる」側に回ることだって十分に考えられます。

その時、自分がこんな流れ作業的な方法で選別されるとしたら、どう思うのだろうか。きっと悔しいと感じるはずです。その気持ちに従って企画したのが、再チャレンジプログラムでした。

AIを使った学習アプリMonoxerは、学習者の努力を「可視化」します。そこに年齢や学歴や容姿などの変数は含まれません。純粋にやる気のある人、想いの強い人が残ります。非常にフェアな仕組みだと思います。

このMonoxerを軸にプログラムを設計し、1年かかってようやく合格者第一号が誕生したのです。

さて、1年前はまったく日本語が話せなかった人が、難解な介護日本語評価試験に合格するのは、本当にすごいことです。

去年出来なかったことが、今年出来るようになる。それはつまり、彼女たちに、ひとつ「魅力」が加わったと言い換えられるのではないでしょうか。

去年よりも魅力的になった彼女たちの存在が、その他大勢の中に埋もれることは、もうありません。

努力をして結果をだしたこと。この事実が、自信となって彼女たちを内側からさらに魅力的に変えていくことでしょう。

日本で働くためには、いくつもの難関が待ち構えています。その度に、今まで出来なかったことにチャレンジし、出来るようになる。魅力が加わり、魅力的になる。そうやって替えの効かない唯一の人に変化していくのだと思います。

翻って自分を振り返ると、今は、たまたま「選ぶ」側にいますが、安穏とはしていられません。この先いつどうなるかなんて誰も分からないからです。

彼女たちを見習って、私も1つでも多くの魅力を自分自身に付け加えていきたいと思います。


GSC第1バッチの候補者たち

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