見出し画像

22卒NNT、適職検査を受ける~大学生のためのGATB入門

画像1

こないだ年が明けたと思ったらもう9月。少しずつ暑さが和らぎ秋の訪れを実感すると共に、筆者(4年、一応卒業は確定)は日に日に肥大していくプレッシャーと格闘していた。

内定が、無い...

画像2

一重にこの一点に尽きる。周囲が続々と内定を取り、一人旅や友人と遊んできた様子をインスタのストーリーに挙げている中、筆者は自宅のPCでまだエントリーできる企業を必死に探していた。

ただでさえ緊急事態宣言により活動が制限され悶々とする中で、「もし1年の頃から就職に向けて積極的に動いていれば」などと意味のない空想に耽る毎日。
今日もMatcherやWantedlyで会社を見つけては、一次面接や適性テストで落とされるなんてことを繰り返している。最終面接にすらたどり着いたことが無いなんて、本当は恥ずかしくて言えたもんじゃない。

だが、もはや至極当然のように送られてくる企業からのお祈りメールを見ているうちに、筆者の頭にはある一つの疑問が浮かび始めた。

そもそも俺、働くの向いてないんじゃねえの?

画像3

ハッキリ断言する。いざ面接になっても自分の志望動機を面接官に明白に伝えられず、ESにも取ってつけたような事しか書けないのは自分の自己肯定感の低さが故である。

企業を受けようとESを書く前に、もっと言えばまだ選考を受けられる企業をネットで探す前に、自分が社会に出て働いているビジョンが全く想像できない。そんな状態で面接を受けたところで見透かされて終わることぐらいこっちも分かっているのだ。

めんどくさい性格が故に周囲とゴタつくことの多かった小・中・高校生時代(ぶっちゃけ今もそう)。
「22歳にもなって未だに中二病を拗らせているような奴は、もう社会に出ないほうが世のためなんじゃないか」なんていうお得意のメンヘラモードを発動させていたある日、ネットである記述を目にした。

「内向的な人間は不適応な仕事をやろとうとすると地獄を見る。適職検査や過去の経験から自分のできることを洗い出すしか生きる道はない」

厚生労働省編 一般職業適性検査「GATB」

画像4

夢も希望もないことを言われているように見えて、裏を返せば自分の適性がある分野でなら生きていけるということ。さらに詳しく調べていくと、自己分析ツールとして厚生労働省が提供している「GATB」がとても有用らしい。

GATBとは、10個以上の検査内容から知的能力、空間判断力、運動共応などといった個々人の潜在能力を測るためのテスト。
結果に応じてそれぞれの職業ごとの適性が判断され、就職面接において自分の能力をアピールするための材料にもなる。

よくある怪しい自己分析ツールと違い、きちんと国によって監修された適性検査がハローワークで無料で受けられる。これを利用しない手は無いと思い、筆者はさっそく電話をかけた。

申し込み~検査を受けるまで

東京都の大学生がGATBを受ける時、実は申し込みの段階が一番厄介である。

まず近所のハローワークに電話すると、「うちでは取り扱っていない。東京ハローワークに問い合わせてみてはどうか?」とのこと。
その後東京ハローワーク→東京わかものハローワークと問い合わせたが、大学生に向けたGATBはどうやら「東京新卒応援ハローワーク」でのみ取り扱っているようだ。(詳しくはわからないので、各自治体のハローワークに問い合わせて見てほしい)

とりあえず問い合わせると、まずはハローワークの利用登録を促された。これが完全オンライン対応されておらず、仮登録の段階で何度も電話をかける必要があり非常に手こずった。本登録が済んだら郵送物が送られてきて...と手続きは非常に複雑である。

その後HPに載っているイベント日程を元に、セミナーの実施日を調べて申し込んだ。

検査当日の流れ

画像5

そして当日。東京都庁の真横にある小田急第一生命ビル・21階にある会場へ足を運ぶ。筆者以外にも20人程度の大学生がセミナーを受講していた。

セミナーの流れとしては、まず簡単な解説。そして検査の実施。答え合わせの後に結果を数値化し、最後に自分の適性と各職業を照らし合わせる。
実施形態によっては、検査を受けてから結果が帰ってくるまで1週間以上掛かる場合もあるという。3時間という長丁場ではあるが、検査結果が当日分かるのはとても良心的なように感じた。

また今回の場合、道具を使い指先や手腕の器用さを測る「器具検査」は実施されないとのこと。
これだと工場でのワークや機械・装備の技術保守、介護関係などといった職業への適性が完全にはわからないので注意して頂きたい。

担当講師の方の説明を一通り聞いた後、早速検査が実施される。

検査の様子+結果発表

問題は計11問。所要時間はおよそ50分ほど。音声のガイドに従って、説明を受けた後に練習問題を解き、そのあと本検査という流れを繰り返す。
これから受ける読者の方に影響があると良くないので詳細は省くが、一般的な理解力、図や文字の識別能力、動作の正確性などを問う問題だった。

制限時間が思いのほか短く戸惑いながら、あっという間に終了。その後回答が読み上げられ問題別に得点を換算し、結果をもとにグラフを作成する。

筆者の結果はこちら。

画像6

黒い線で結ばれた部分が実際の得点。赤線・青線で表される「適正能加算得点」「参考点」はその日のコンディション等を加味し、MAXでこのくらい取れるだろうと予測される点数だという。見事に綺麗な落差ができあがった。

比較的高いと判断されたのは状況を分析したりアイデアを出す「知的能力」や、計算・データ分析等を行う「数理能力」

あざやかに平均を下回ったのは文章の校正や表の作成作業に関わる「書記的知覚」や接合・組立て等の作業を行うための「形態知覚」。

ぶっちぎりで出来なかったのが、目と手を同時に動かして迅速に作業を行うための「運動共応」である。
俺は作業が雑な人間だということがはっきり分かった。

結果から見る適職診断

最後に、パンフレットに見開きいっぱいに書かれた職業一覧表と、自分の検査の結果を照らし合わせていく。各職種ごとに必要とされる能力は違い、一つでも基準を満たしていない項目があればその職業は「適正なし」となる。

筆者が「非常に高い適正あり」とみなされた職業は次の通り

画像7

①動物や農業の管理に関わる仕事
(稲作経営者、動物園のスタッフ、山林監視員など)
②アドバイザーポジションの仕事
(ソーシャルワーカー、各種カウンセラー、キャリアコンサルタントなど)
③企画や戦略を考える仕事
(経営コンサルタント、マーケティングリサーチャー、営業企画員など)


逆に「際立って才能がない」と発覚してしまった職種は次の3つである。

画像8

①工場での加工・組立てに関わる仕事
(金属加工技術者・各種加工、組立技術者など)
②デザインや写真に関わる仕事
(各種デザイナー・イラストレーター・WEBクリエイターなど)
③事務機械の操作、オペレーターに関する仕事
(パソコン、OA機器、コールセンター、DTP等のオペレーター)

「これからはITの時代だしWEBデザインでも勉強するか」と思った時期もあったが、科学的根拠のもとに夢はあっけなくついえてしまった。
またここには記していないが、個人的に向いていると思っていた記者や講師業に対し、適正があまり無いと判断されたのはショックだった。

反面以前からうすうす気付いていた、「コンサルやアドバイスに関わる仕事」への適性がはっきりしたのは検査した甲斐があったといえる。22年生きてきて、まさか農業技術者への適性が発覚するとは思いもよらなかった。

おわりに

「結果が良くても本職にしている人はさらに努力を重ねているわけですし、結果が悪かった人も努力次第で数年後に結果が覆ることもありますからね」

セミナーの最後に担当講師の方に言われた一言だ。
仮に結果が悪かったとしても、心がけ次第でどうとでもなる。あくまでも、「科学的根拠のある占い」くらいのポジションで捉えておくのが無難かもしれない。

あともうちょっとで10月。22卒の就活もいよいよ大詰めな中で、就活の軸を改めて考え直すことができた。時間は着々と無くなっているが、なんとかやり抜くしかない。血迷ってインドとか行かずに本当に良かった。

この記事が就活に悩んでいる人にとって、少しでも助けになれば幸いだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?