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協議会メンバーが「SDGsの未来」と「行動の10年の重要性」を語る

「ジャパンSDGsアクション キックオフ 記者発表会&トークセッション」のレポート第2弾。今回は、ジャパンSDGsアクション推進協議会のメンバーを中心としたパネリストが、「なぜ今ジャパンSDGsアクションをスタートしたのか」をテーマにポストコロナ社会におけるSDGsの意義を語った、トークセッション前半の模様をレポートします。

■登壇者
蟹江憲史(ジャパンSDGsアクション推進協議会 会長/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
春田博己(外務省 国際協力局・地球規模課題総括課 課長補佐)
和田恵(SDGs-SWY共同代表)
山口健太郎(ジャパンSDGsアクション推進協議会 事務局長/神奈川県理事[いのち・SDGs担当])
【ファシリテーター】
たかまつなな
(お笑いジャーナリスト)

※第1弾(記者発表会)のレポートはこちらからご覧ください。
※第3弾(トークセッション後半)のレポートはこちらからご覧ください。

以下では、記者発表会の動画をご覧いただけます。

社会がコロナ禍にある中、なぜ今SDGsアクションが必要なのか?

トークセッション前半のファシリテーターを務めるのは、「お笑いの力を活用して社会問題をわかりやすく伝える」をテーマにユニークな活動に励む、たかまつななさん。まずは、パネリストの4名に「コロナ禍におけるSDGsの意義」を問いかけました。

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たかまつなな(お笑いジャーナリスト)

たかまつさん
「私の個人的な印象ですが、せっかくSDGsに関する機運が高まってきていたところに、新型コロナウイルスが到来して、みんな何をしてよいのかわからなくなってしまって混乱しているような気がします。ポストコロナ社会におけるSDGsの意義、今SDGsアクションを行う意義とは何なんでしょうか?」

たかまつさんから「コロナ禍におけるSDGsアクションの意義」を問われ、まずは蟹江憲史(のりちか)会長が見解を述べました。

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蟹江憲史(ジャパンSDGsアクション推進協議会 会長/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)

蟹江会長
「先回りできるということです。SDGsの3番目の目標『すべての人に健康と福祉を』の中には、感染症対処に関する項目(ターゲット)があります。新型コロナウイルスが蔓延する前から、感染症対策にもっと取り組んでいれば、少しでも被害を軽減できたはずです。それはSDGsの他のテーマにおいても同じことです。悲惨なことが起こる前に、SDGsアクションを通じて課題と向き合う。そして、さまざまなリスクを減らしておくことは非常に重要なことだと思います」

これを受けて春田博己さんは、外務省の立場から「今、SDGsを行うことの意義」を述べました。

春田さん
「新型コロナウイルスへの対応が、国際社会の直近の課題となっている中で、SDGsは『行動の10年』を歩み始めることになりました。しかし、危機的状況だからこそ生まれるものがあります。外務省では、コロナ禍で生まれたパートナーシップやイノベーションをプラスの力に転換し、今改めてSDGsへの取り組みを加速するべきだと考えています」

一方、山口事務局長は、コロナ禍の自治体におけるSDGs推進について述べました。

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山口健太郎(ジャパンSDGsアクション推進協議会 事務局長/神奈川県理事[いのち・SDGs担当])

山口事務局長
「私たちはジャパンSDGsアクションのパートナーを広げていくなかで、県外の自治体とも連携していくべきだと考えています。また、県内の地域レベルで行われているSDGsに関する動きも一つひとつピックアップし、横断的にSDGsアクションを広げていくことも重要だと感じています」

SDGs-SWYで、SDGsに向けて取り組む若者を支援している和田さんは、次世代の視点からSDGsアクションに向けた想いを伝えました。

和田さん
「SDGsの本質は変革。今、大学生の間でジェンダーの話題や活動が盛んに行われているなど、変革の芽が若者の間で出始めています。社会がそれを後押しすれば、もっと変革を進められるはずです」

「行動の10年」、私たちは何をすべき?

トークセッションは最初のテーマから白熱し、話題は「『行動の10年』で何をすべきか?」に移り、蟹江会長が、SDGsが浸透するには「とにかく行動することが大事だ」と力説しました。

蟹江会長
「組織・個人によってできることは異なりますが、それぞれが行動を起こすことが何よりも大事であるということは、共通して言えることです。一つの行動、それぞれの行動が、SDGsの浸透やよりよい社会の実現につながるのです。
例えば、コロナ禍で流行した飲食店のデリバリーは、経済成長につながるテレワークを支えます。このように、一つの行動であっても、それに関わるあらゆる人が想像力を広げていくことができれば、SDGsアクションの可能性は広がっていきます」

一方、春田さんは、日本と世界を比べたときに課題として挙がる項目について言及しました。

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春田博己(外務省 国際協力局・地球規模課題総括課 課長補佐)

春田さん
「SDGsの目標で日本が足りていないのは、ジェンダー平等、環境配慮、パートナーシップだと言われています。資金調達や認知度の向上など、行動すべきことはたくさんあります。外務省も主体的に行動に移していくつもりです」

和田さんは、SDGsアクションが広がることによる課題点に触れながら、SDGsアクションの“あるべき姿”を訴求しました。

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和田恵(SDGs-SWY共同代表)

和田さん
「SDGsの各目標に取り組む団体は多くなってきました。一方で、行動の数が増えるにつれて、他の目標・ターゲットにマイナスの影響を及ぼす行動が生まれてしまう懸念も忘れてはいけません。これからは17すべての目標を視野に入れながら行動し、真にサステナブルな日本を作っていくべきではないでしょうか。そのためには各団体・個人の横断的な対話が重要になると思います」

それぞれのコメントを受け、たかまつさんは、真剣な眼差しで「SDGs Peopleの一人として、個人がすべき行動をもっと考え、活動に生かしていきたい」と意気込みを伝え、トークセッションの前半を締めくくりました。

取材を通して編集部が感じたこと

「行動の10年」の始まりがコロナ禍と重なったことについて、ネガティブな印象を抱いていた方は少なくないはずです。しかしこのトークセッションを通じて「ピンチこそチャンス!」という転換の発想で、自分がすべき行動に移していくことが重要なんだと、考えを改めさせられました。
ポストコロナ社会で生まれる知恵や技術、パートナーシップが、未来を良くしていく。そのために、私たちが何をすべきか、これからも一緒に考えていきましょう!

※第1弾(記者発表会)のレポートはこちらからご覧ください。
※第3弾(トークセッション後半)のレポートはこちらからご覧ください。