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手を広げた聖母マリア

La vierge aux bras etendues


フランス北東部アルザス地方、特にドイツとの国境の町ストラスブール(Strassbourg)はマリア崇敬の強い地域だ。11世紀頃からストラスブールの繁栄、安全に聖母マリアは大きな役割を果たしてきたといわれる。両手を広げ、膝に幼きイエスを乗せた「手を広げた聖母マリア(La vierge aux bras etendues)」は、11〜12世紀のストラスブール鋳造の硬貨、教会の御旗に描かれていた。
手を広げた聖母マリアは中世以来、ストラスブール司教区の守護聖人となっている。

現在、ストラスブール大聖堂の側廊に顕示されている手を広げた聖母マリア像は、アルザス地方の彫刻家ピエール・クライン(Pierre Klein)によって第二次世界大戦の終決、和平を祝って1946年に制作され、2019年まで大聖堂の主要祭壇下の地下礼拝堂に顕示されていた。

手を広げた聖母マリアは、聖母マリアの寛容、慈悲で包み込むという意味がある。幼きイエスは右手を挙げて市民を祝別し、左手でフランス王家の象徴でもある百合の花を持っている。

「ストラスブールの聖母マリア(La vierge de Strassbourg)」のステンド・グラス

第二次世界大戦でストラスブール大聖堂は爆撃を受け、戦禍から免れることができなかった。ヨーロッパ議会を置いているヨーロッパ共同体EUは、1956年、ストラスブール司教区の守護聖人手を広げた聖母マリアのステンド・グラスを大聖堂に寄贈した。EUの旗の12星の紋章も聖母マリアの光輪の星に由来するという。

ストラスブールの大聖堂は、正式には「ストラスブールのノートルダム大聖堂(cath.drale Notre-Dame de Strasbourg)」と呼ばれる。ドイツ語圏でもあったことからドイツ語で「Liebfrauenmünster zu Straßburg」とも呼ばれる。13世紀から14世紀にかけて裕福な商人たちによって建築資金が供給された。15世紀に追築された尖塔は高さ142メートルで当時世界で最も高い建造物だった。

大聖堂の正面入り口の中央の柱に聖母子像が顕示され、左右の側壁には預言者と聖人たちの像が置かれている。上部のタンパンにはイエスの生涯が刻まれている。

タンパンの上に聖母子像が置かれている。

大聖堂内観の側廊の壁はステンド・グラスで飾られている。聖母マリアに献堂された大聖堂なので聖母マリアの生涯が描かれたステンド・グラスもある。

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