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好きな曲を自分の解釈で分析する1

好きな曲を分析して、何が自分や他人にとって気持ちよく聴けるのかを考えてみたいと思います。(間違いも多々あると思うのでご了承ください)

今回はJ-POPの中でもMr.Children のプロデュースで知られる小林武史氏の1996年の作品『Yen Town Band / Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜』のIntro部分に絞ってみていきたいと思います。同名の映画(スワロウテイル)の主題歌でもあります。

Intro に着目したのは氏のアレンジの肝はいつもIntro に詰まっているからです。ちなみにこの曲は作詞作曲ともに氏です。
メロやコードだけでなくアレンジ全体を見たいので全体を譜面にしてみました。(合ってるかなぁ・・)
※著作権の関係によりYoutubeを使用。

譜面を元に項目別に見ていきます。

【使用楽器】
Intro 部分はSynth のメインメロにElectric PianoにViola とCello で伴奏が入っていると思います。(たぶん)

【Melody】
メロディは4拍目からアウフタクトで入ります。
メロディーはシンプルですが、基本的にシンコペーションが多用されています。3拍目裏に遅れて入る8分と4拍目裏からシンコペーションする長音符がメロディのリズムの肝になっていると思います。このシンコペーションがスローテンポの楽曲のリズムフックになっていると考えられます。
このリズムの特徴だけでも楽曲制作に取り入れられると思います。

また3、4小節目では1、2小節目の「長いメロディーMotif」 とは対照的に「短いメロディMotif」 が繰り返されています。メロディMotif を3回繰り返すのがAKB48などの売れている楽曲の肝ですが、ここでも細かいMotif の繰り返しとMotif Development が使用されています。
(AKB48のヘビーローテションのサビなど参照)

【コード進行】
このIntro では2小節毎のCadence (Turnaround)がベースです。
IVSub Dominant Major からスタートするのがポイントだと思います。
ベースとなるCadence は非常にシンプルなIV-V-I (SD-D-T)の変則Version であるIV-V-VI-III の進行です。

ちょっと別の例なのですが、IV-V-VI-III を変則にしたIV-V/IV-VI-IIIと言う進行を氏はよく使います。氏だけではなく色んな曲に使われている特徴コードです。このV/IVの進行が非常にアレンジの上では重要なのですが、 ここに以前に小林武史氏がインタビューを受けた動画で即興的に弾いた演奏を譜面にしたものがあります。(元もYouTubeで見れます)

これを見ると出だしのV/IVは確かに氏の特徴コードなのですが、注目すべきは3、4小節目です。
最後のTonic 部分で「IV/V-V/I-I」と言う進行を弾いています。
細かく見ると、IV/VのVは次のV/I のVに引き継がれ、V/I のI  次のIに引き継がれていると解釈することもできると思います。
つまりここから分かることは
「前後のコードの一部を残したまま、次のコードに滑らかに引き継ぐ」
と言うのが氏の一番の特徴なのではないかと考えています。
これを踏まえて作曲に取り入れれば、突然この特徴コードをブチ込むよりはもう少し音楽的に滑らかにコード進行に取り入れられるのではないでしょうか。

【伴奏のアレンジ】
伴奏で特徴的なのはCello のCounter Melody です。
Main Melody は3拍目裏まで伸ばしているのに対して、Counter Melody は2拍目裏でシンコペーションしています。このリズムの互い違いがスローなテンポのメロディに対して密度を高めていると感じます。

また、Viola はメロディのリズムに対して追随するようにCounterpoint 的にアレンジされています。(4小節目)
このViola のメロディは6小節目に再度出てきますが、6小節目の後半でメインのメロディラインに重なります。この、Counterpoint からUnison に流れる過程がIntro のストーリーの山場を作っている一番大事な部分(エモい部分)と考えられます。

・・・

項目事にIntro の8小節だけ見てきましたが、これ以外にも音色だったりミキシングだったり、特徴は色々あると思いますので、自分が音楽的に成長したら、また追記していきたいと思います。

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