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人間の脳は不完全であいまいで賢い

好奇心が大人になってから爆発しているわたしはブルーバックスが愛読書になっている。
今回は池谷裕二さんの「進化しすぎた脳」を読んだ。理系分野に疎いから人間の原点を見つめる。

この本は高校生相手に講義した内容をそのまま口語文で書いているので、平易で読みやすい。もちろんこの高校生は頭が非常に頭が良く、知識があるのだけど。


頭が良いってどういうことなの

それこそ、頭がいい人の脳って何が違うの?シワの数が多いといいの?って感じだけど、まずシワが増えると脳の表面積が増えるという単純なことを知らされる。たしかに。

じゃあ脳みそが大きければ賢いのか、といえばヒトよりもイルカのほうが脳の比率は大きいという。そりゃ超音波で会話してるっていうけど、ここまで発達した社会まで作ったヒトよりも頭がいいとは思えない。

頭がいいっていうのは、例えば頭の回転の速さとか記憶力のことを指すと思う。しかし、完璧な記憶力があっては困りごとがあるという。


記憶は不完全でないといけない

例えば写真のように記憶した場合、同じ物でも大きさ、色、角度が異なると認識ができなくなる。だから脳は敢えてあいまいに記憶をしているという。

脳は物事をあいまいに記憶して余白を持たせ、共通項を記憶している。高い適応力のためにもたらされた必要な不完全さ。賢い。

このあいまいさのために、人間はゆっくり学習する。記憶を保留して共通している特徴を抽出、判断をする
学習スピードが速いと表面の浅い情報に振り回されてしまうのだ。勉強にもこの作用ははたらくため、ゆっくり反復するのが理にかなった方法と言える。


脳にとっての言葉の目的

脳のこの抽出作業はまさに帰納法である。

「帰納法」とは、観察された事実やデータ等の具体的な事実から、一般的な法則を導き出す等、「特殊なケースから一般的な結論を推論する手法」である。

ニッセイ基礎研究所より抜粋

脳は抽象化(推論)をするが、これには必要なものがある。それが言語だ。
思考は言葉によって行えるものであるから、言葉が使える人間でないと帰納法を使えない。

言葉はコミュニケーションツールとしての役割ももちろんあるが、思考するためにも必要なツールになる。

臨機応変に適応するために記憶はあいまいで、そのあいまいな記憶のなかから共通しているものを抽出するためには言語が必要、ということだ。

かなり色んな脳の働きについて書いてある中で一番ワクワクしたのが、このあいまいな記憶の章だったのでその部分だけまとめた。

アルツハイマーの原因なども興味深かったから、他の本なども読んで深堀したものをまたまとめたいな。

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