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第20話:身体についた2つのカメラからは見えない世界を

突然だけれど、
人間って重力レンズみたいだと思わない?


重力を持ち、周囲を歪ませるブラックホールのような。

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球体に閉じ込もっている。


周囲の景色を一点に集めて、
球の中に焦点の合った像を結ぶ。

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硬い境界線を持って
堅く閉ざしている。

外側と/内側は、まるで違う景色。

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溶け合う日々に紛れて、
忘れてしまいそうになる境界線の中に
強い重力を隠している。

歪んだ出力で 思い出される
わたしの範囲。

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実は、表現したいのはこの絵じゃないんだ。

物理世界で球体ガラスを見ると
反対側の風景が見えるだけなんだけど、

そうじゃないんだ。


球体には全方向から光が入ってきて、
それが1点で像を結ぶはずなんだ。

わたしたちは 身体についた2つの目から
物を見ることに慣れすぎているけど、

そうじゃないんだ。


球体そのものが眼だった時。
その時に見える景色を想像してみて。


全方向から世界を一身に浴びる。
一点からどこまでも一望する感覚。


目で見るのとは、
全然違う景色じゃない?


それを表現したいんだけど
カメラじゃどうやっても完全には撮れないみたいんだ。

でも、写真を撮ることで
なにか思い出せたらいいなと想っているよ。

そしてバーチャルの力も借りて表現したい。


だから 手がかりを見つけたくて
写真を撮ってる。


心で見ている景を
少しずつでも外に出していくように
努力してみてる。


ふがいないことに
昨日も気が付くと
なんとなく綺麗な写真を撮りそうになっていて
何度も方向修正した。


こわいね。


知らないうちに
どこかで見た なんだかそれっぽい写真に、
構図に、
寄せて行ってしまう自分がいて。

そんな風に ずっと
他人の言葉を借りてばかりいたら
自分が高揚できるような景なんて
映し出せるわけないよな。


そう。

世界とちゃんと濃厚接触することに決めたよ。

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なんとなく手を出して、
器用さだけで
まあできたからまあいいか、って
そぞろ足で立ち去っていくような、

そういうのはもう飽きたんだ。やめようと思う。


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この右側の人、みてみて。


すごくいい感じ。流れてる。

本来は動きのはずのものを、
痕跡が混ざって生まれる
焦点の合わない質量を、

身体についた2つのカメラは
詳細に捉えすぎてしまうね。

そんなに丁寧に焦点を合わせて
にしなくてもいいのに。

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全てはただふよふよと流れている.(のに)
切り取った光景が容量を食って重みをもちはじめる。

もうちょっと周りのことを無視していいのかもしれないね。

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忘れないようにしようと思う。
この、地に足のつかない世界の見え方を。


これが僕が心の目で見ている景色。

表現したい景のひとつ。まだまだあるよ。

また今度話すね。


君はいつもどんな景を見ているの?

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しゅばーんと突き進んで、ひらりと舞ってみせるよ。
どんどん世の中と離れて行っている気も少しばかりするけど。

また話そうね。


では。


サカキ

広大な仮想空間の中でこんにちは。サポートもらった分また実験して新しい景色を作ります。