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大学生警備員の小砂5:インド旅行で人生観までは変わらず(笑)

ここの話は私が20歳の頃のしょうもない経験と考えたことを元に回想し、解釈しているだけで、必ずしも正しい知識ではないことが含まれていることをあらかじめおことわりしておきます。
1992年、夏。私は朝の新聞配達以外は「引きこもり」のような生活から少し歩みだし、20歳の時に江東区にある高層ビルで警備員のアルバイトになりました。夜間のアルバイトです。そして、夜勤の警備員アルバイトをしながら、21歳の時に大学生になりました。

昼間に大学に行って、夜に警備員をしていましたら、労働時間が長くなり、準社員となりました。

22歳の時、同じ警備員のアルバイトをしている大学4年生のTさんと、いきさつは忘れましたが夏休みに2人でインド旅行に行くことになりました。私も21歳で大学に入ったのですが、彼もいろいろあったようで年齢は3つほど年上でした。いろいろと教えてくれる人生の先輩です。

タイのバンコク経由でインド入りして、加減を知らない冷房車での鉄道旅行でした。たしか、デリーからバラナシを通って(クミコハウスでダラダラして)、カルカッタからアウトするというプランでした。今思えば、「地球の歩き方」の本を持って、あとは宿泊先も決めずに行ったんですね。行き当たりばったりです。

日記を付けていたのですが、私の実家を取り壊した際に日記もプリント写真も紛失してしまいました(写真はどこかにあるはず)。こうして書いていると断片的な記憶が蘇ってきます。

「インドをバックパッカー旅行すると人生観が変わる!」と聞くことがありますが、私の場合はそこまで劇的には人生観は変わらなかったと。ただ、嗅覚や触覚に残る記憶は、それが自分にとって良い経験だったのようには思います。

「言葉」も自分が思っていた以上に伝わった気がします。気だけかもしれません。知っている英語を駆使して、何とか伝えよう聴き取ろうとすると、意外と伝わることを実感したのは良い経験でした。

お腹が痛くなって大変高級なホテルのトイレを借りた時に、トイレの扉を開ける人、トイレの個室を振り分けてくれる人、トイレットペーパーをくれる人、洗面所の蛇口をひねってくれる人など、役割が細分化されていて、かつ、それぞれにチップを渡した方がよいかどうか悩んだことも、今思えばですが良い勉強です。

そして、チップや路上で無心する人に小銭を渡したときに、(私は現地のお金の実際の価値を実感としてわかってなかったということもありますが)渡したお金が少なすぎると、お金を見つめてから「本当に悲しそうな表情」で私の顔を覗き込まれたこともリアルな体験として記憶されました。

汽車の切符を買う際にも、駅の券売所まで案内してくれたリキシャの運転手は外国人用の券売所には入れてもらえず、駅の係の人に連れ出されていました。ハンバーガーショップに行った際も、入り口に銃をもった警察官(あるいは警備員)がいて、店の中と外にいろんな「見えない壁」があることも感じました。

そんな窓の外側の様子とは対照的に、ハンバーガーショップの店員はキビキビとした対応をしてくれるのです。私は店のガラス越しに人々を見ながら、ベジバーガー(肉ではなく大豆だったように思います)を食するのでした。

コーヒー好きの私ですが、インド滞在中は1度しかコーヒーを飲みませんでした。紅茶や甘いチャイがまずもって美味しかったのです。お腹を壊す覚悟で露天のカレー屋さんでバナナの葉に盛ったジャスミンライスといろいろなカレー、やはりおいしい。カレーではお腹を壊さないけれど、ラッシーは少しやばい気がしました。

食べものはね。美味しかったです。日本の食べものも美味しいのですが、やはり、人々が生活の中から紡ぎだした食生活はどこの国の料理でも美味しい。トマトスープやバターチキンカレー、ホウレン草カレー、オクラカレー・・・、人類は美味しいものを生み出すんだなあ。

インドでのバックパッカー旅行したことが人生の価値観を大きく変えたかどうかはわかりません。しかし、そこに行った、食べた、寝た、お腹を痛めた、・・・の時間を持ったという事実があると「本で読んだ」「テレビで見た」という知識よりもリアリティを感じることができた気がします。

そして、英語の勉強がそれほど得意ではなくても、2週間ほど英語でサバイバルしたという事実がなんかのパワーになることはあるかもしれないと思いました。そして、何らかの教科書などを読んだ際に、紙の上から想像上ですが、現地の香りがしてくる気がするのです。

教訓

実のところ、2週間ほどのインド旅行では別に「うおっー」というほど人生観までは変わらなかったのですが、文字で書いてあることへの理解に嗅覚や触覚などの五感が加わると、より立体的なイメージを頭に描けるのではないかなという実感を得たのは良かったと思います。

帰国後は、何だか騙されて購入した置物やアクセサリーを眺めて、呆然とするのです。

私はまだこの時、自分が近い未来に国際分野の勉強をしたり、外国で働いたすることになろうとは夢にも思っていませんでした。だって、この時点で人生観変わったと思ってないので(笑)

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