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現代を「鬼滅の刃」で読む(拾弐):鬼は時に弱者に優しく近づく

意地の悪い侍と商人(人間)に妹を焼かれた妓夫太郎は、黒焦げになった妹の体を抱えて走りました。

妓夫太郎(人間):「元に戻せ 俺の妹の体を!!」
妓夫太郎(人間):「誰も助けちゃくれない いつものことだ いつも通りの俺たちの日常。いつだって助けてくれる人間はいなかった」

そこに「人間」ではない、上弦の鬼の童磨が手を差し伸べます。

童磨(鬼):「どうした どうした 可哀想に。俺は優しいから放っておけないぜ。命というのは尊いものだ 大切にしなければ」

そして、妓夫太郎も、その瀕死の妹も鬼となりました。

妓夫太郎:「鬼になったことに後悔はねぇ。俺は何度生まれ変わっても必ず鬼になる。幸せそうな他人を許さない。必ず奪って取り立てる妓夫太郎になる」

鬼殺隊との戦いで敗れ、いまわの際に妓夫太郎はひとつ心残りを回想します。

妓夫太郎:「梅。俺とお前は違ってたんじゃないかってことだ。普通の親元に生まれていたなら普通の娘に、良家に生まれていたなら上品な娘になっていたんじゃないか。染まりやすい素直な性格のお前だ。俺が育てたためにお前はこうなっただけで、奪われる前に奪え、取り立てろと俺が教えたから、お前は侍の目玉をついたが、従順にしていれば何か違う道があったかもしれない。唯一の心残りはお前だったなあ」

黄泉の国に向かう妓夫太郎は、妹は自分と一緒にいなければ、もっと素晴らしい人生を歩めたのではないかと思うところもあり、妹の魂が自分と一緒に来ることを拒みます。

妓夫太郎:「お前はもうおれについてくるんじゃねえ。ついて来んじゃねえ」
妓夫太郎:「俺はこっちに行くから、お前は反対の方 明るい方へ行け」

そうやって突き放す妓夫太郎に梅は言い返します。

梅:「離れない!!絶対離れないから ずっと一緒にいるんだから!!何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる絶対に!!」

妓夫太郎は、2人が貧しく助け合って暮らしていた人間の時代を思い出します。

妓夫太郎(人間の時の回想):「俺たちは二人なら最強だ 寒いのも腹ペコなのも 全然へっちゃら 約束する ずっと一緒だ 絶対離れない ほらもう何も怖くないだろ?」

(コミックス第11巻より)



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