【随想】宮沢賢治『二十六夜』
虫や鳥獣は意味も無くむやみに鳴いているのではあるまい。人はときどき奇声を発するけれども、それだってそうするに至る経緯がある。興奮、ストレス、周囲からの感化、怖いもの見たさのような気持ちで叫ぶことだってある。生物が鳴き叫ぶのには理由がある。でもその理由が分からないから、鳴き声は、うるさく感じることはあってもそれ以上の意味があるとは感じない。と、いうより感じようがない。何故鳥は朝方によく鳴くのか。何故犬猫の怒りは唸りとなるのか。何故狼は遠く響く声を発するのか。人間が人間の感覚や