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雨にぬれても

雨が好きだ。

春の霧雨、梅雨の肌にまとわりつくようなじっとりとした雨、秋に台風と共にやってくる激しい横殴りの雨、冬の厳しい寒さを伴った身を切るような冷たい雨。

どの雨も大好きだ。

TVの天気予報はどちらかというと雨に対してあまりいい印象を持っていない気がする。傘やカッパを用意しなければならない人々を気遣っているのだろうか。それとも布団を干したり、洗った洗濯物が乾かないことへの主婦への配慮なのだろうか。雨が好きな僕はきっと少数派なのだろう。

僕の雨に対するイメージはBJトーマスの「雨にぬれても」だ。

いつもこのようなウキウキした気分になる。

思えば、子供の頃からそうだった。
雨が降ると、喜んで合羽を着ていった。長靴に雨が入ってしまって、靴の中もびしょびしょになったら、もうどうでもいいやとばかりにわざと水たまりを踏んづけて歩くのも大好きだった(祖母はいい迷惑だったろうが)。

なぜ、あんなに雨が好きだったんだろう。
今でも朝方、外で雨音がしているのを布団の中できくと安心する。
雨は嫌なこと、つらいことだったりを全て洗い流してくれる気がするからだろうか。

しかし、雨が好きな人にはあまり会ったことがない。
一部限定で春の霧雨が好きとかいう人はいても、梅雨の時期の雨や台風や冬の冷たい雨など、雨全般となるとそうそう見かけない。僕に出会いがないだけなのだろうか。

さて、現在反抗期真っ最中の三男坊も雨が嫌いな一人だ。これにはわけがあって、三男坊は片頭痛もちなのだ。雨が降りそうになると、頭が痛くなるらしい。どうやら妻もそうらしく、遺伝的なものらしい。僕はそんなこと一度も経験したことないので、片頭痛について調べてみた。

すると、天候に関することは一切書いてなかった。一体どういう仕組みなのだろう。

それはそうと、家の中で雨が降るとウキウキする人と、憂鬱になる人が一緒に住んでいるのってどうなのだろう。あまりウキウキしている姿を見せると白い目で見られるかもしれないので、これからはちょっと控えめでいこう。



出雲神話では天候に関する話題が少ない。おそらく「古事記」を覚えるのに一生懸命だった稗田阿礼(古事記を丸暗記した人)は、その時々の天気についてなどかまってはいられなかったのだろう。しかし、僕は「国譲り」の武御雷神(たけみかずち)登場のくだりは嵐であったと推測する。

 高天原(たかまがはら)の天照大神(あまてらすおおみかみ)は、大国主命(おおくにぬしのみこと)の経営統治している豊葦原(とよあしはら)の瑞穂国(みずほのくに)は、わが子天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)の治めるべき国であると仰せられ、統治権の譲渡を要求されることになった。そこで使者として天穂日命(あめのほひのみこと)が派遣されたが、3年たってもなんの返事もしなかった。そこで2人目の使者として天稚彦(あめのわかひこ)を派遣したが、これも大国主命の娘下照姫(したてるひめ)と結婚して国譲りの要求などしなかった。そこで3人目の使者として武甕槌神(たけみかづちのかみ)を派遣した。武甕槌は天鳥船神(あめのとりふねのかみ)を伴って出雲の稲佐の浜に降り、長い剣を波打ち際に逆さにたて、そのそばにあぐらをかいて大国主命と談判をした。大国主命は、自分の一存では何とも答えられない、美保埼で漁をしているわが子事代主命(ことしろぬしのみこと)に聞いてくれ、と言った。事代主命は、父大国主命に向かって、この国は天照大神の御子に奉献したがよろしいでしょう、と答えると、今乗ってきた船を踏み傾け、呪いの手打ちをした。すると船はたちまち青い柴の垣根に変じ、事代主命はその中に隠れて、再び姿を現さなかった。事代主命の弟建御名方神(たけみなかたのかみ)、国譲りに反対したが、武甕槌神との力競(くら)べに敗れて諏訪湖まで逃げてしまった。かくて武甕槌神は再び大国主命に国譲りの意思を問うた。これに対し大国主命は次のように答えた。「私には何の異存もありません。ただ一つの願いは、国を譲る代わりに、私の住居(すみか)として、高天原の大神の御殿と同じように、大磐石の上に太い柱を立て、大空に千木(ちぎ)が突き出ているような立派な御殿を建てていただきたい。」
 そこで武甕槌神は望みどおり出雲国の多芸志(たげし)の浜に、立派な御殿を建ててあげたのである。

「国譲り」

最後にやってきた武御雷(たけみかずち)神は雷の神様である。ポカポカした春の陽気のなか、出雲にやってくるには場違いだろう。かといって、冬の荒れた海には船を出せない。やはり、時は晩秋、暗雲垂れ込める嵐の中、稲佐の浜にやってきてこそ、武御雷神らしい登場だと思う。なんなら雷が鳴っていると、尚好し。




はっ、

雨が好きすぎて、今回ははからずも高天原側を応援してしまう形となった。いかん、いかん。

あれっ、なぜ無意識のうちに僕は武御雷神にワクワクしてしまったのだろう。まさか僕は武御雷神の子孫で、出身は高天原ってことはないだろうな。そんなことになったら、もう出雲で生きていけません(嘘)。

今度、HNKのファミリーヒストリーで調べてもらうとしよう(絶対、調べてはくれません)。




今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 
 
よかったら、出雲大社のついでに稲佐の浜にもいらしてください。

そのときは天気のいい日に来たほうがいいですよ。

では、お待ちしています ♪



こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。

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