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【神話エッセイ】 宍道湖七珍

最近、目に留まった記事。

「ワカサギとウナギが農薬のせいで激減!?」

東京大学教授の山室真澄さんの研究で、宍道湖のワカサギとウナギが激減したのは、農薬に使われるネオニコチノイドが関係しているとのこと。

宍道湖のウナギの漁獲量は、1993年(平成5年)の24トンから減少し、近年3.5~10トンで推移しています。全国では1970年(昭和45年)頃から減少し、現在では約1/50にまで低下しています。
この原因については、養殖種苗用にシラスウナギを乱獲したことなど諸説ありますが、現在、全国的にシラスウナギの漁獲規制などの保護対策が進められています。
また、宍道湖のワカサギの漁獲量は、1993年(平成5年)に190トン、94年(平成6年)には20トンに減少し、現在ではほとんど漁獲されない状況が続いています。
ワカサギは水温30℃以下の環境に生息する魚で、宍道湖は分布の南限にあたりますが、漁獲量が急減した1994年は、夏に30℃以上の高水温が続き、ワカサギのへい死が生じた可能性が高いと考えられました。また、近年のほとんど漁獲されない状況についても水温の影響が大きいと考えています。
漁獲量の減少につきましては、さまざまな原因が指摘されており、減少に影響を与えた可能性があるものの一つとしてネオニコチノイド系農薬が示されたものと理解しています。

島根県より

子供の頃、あまりにもワカサギは捕れすぎたので、近所の漁師さんがおすそ分けでワカサギを持ってくることがしょっちゅうあった。だから、ワカサギがくると、甘辛しょゆでつけたワカサギを七輪で炙って、晩の食卓に並べるのが出雲の原風景のようなものだった。

ぼくもご多分に漏れずワカサギが大好きで、最後は熱いご飯にワカサギを何匹かのっけて、お茶をかけて食べる「ワカサギ茶漬け」が大好物だった。

そういえば、最近、全くワカサギを見なくなったなぁと思っていたけれど、そんな理由があったのか。

 
みなさんは宍道湖七珍しんじこしっちんをご存知だろうか。

宍道湖でとれる代表的な魚介類の7つを称して宍道湖七珍という。その7つとはスズキ 、モロゲエビ 、ウナギ 、アマサギ(ワカサギ) 、シラウオ 、コイ、シジミのことである。それぞれの頭文字をとり「ス・モ・ウ・ア・シ・コ・シ」と覚えるとよい。

神々のふるさと山陰より

これではウナギとワカサギが抜けて、宍道湖五珍になってしまうじゃないか。これは、由々しき問題である。他の魚介類は大丈夫なのだろうか。

ぼくはその中でも特にスズキが心配だ。

というのも、出雲神話には宍道湖七珍の魚介類が登場する。それがスズキである。


神話の舞台「国譲り」での出来事。大国主命は自分が造ったこの国を高天原にお譲りした。そのかわりに高天原にも届くような宮殿を建てていただければ、反抗する者はいないでしょう、と不思議な条件を出す。すると、その要件は受け入れられ、大きな神殿が建てられた。それが「出雲大社」である。

そこでクナト神の孫・クシヤタマを調理人として神殿にごちそうを差し上げることにした。クシヤタマは鵜(う)になって海の底の赤土を加えてきて土器を作り、海藻の茎で臼と杵を作って火をおこし、スズキを釣ってきて、大国主命に料理して差し上げた。

出雲大社建造の由来にスズキの料理が関係していたとは驚きである。でも出雲大社に詣でたときにスズキが献上されているのを見たことないけれど、ちゃんと秘密裡に納められているのだろうか。

なぜ、タイやヒラメが献上されなかったのか(もう少し高級魚でもよかったような・・・今だったらノドグロでもよかろうに)。ひょっとすると大国主命の好物がスズキだったのかもしれない。

だとしたら、尚更、スズキさんには頑張ってもらって、宍道湖一珍になったとしても生き残ってもらいたいものである。まぁ、スズキさんも大国主さんのために生存しているわけではないと怒るかもしれないが(スズキさんにはスズキさんの生き方というものがあるのだから)。


 


今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 
 
よかったら、出雲大社にもいらしてください。

その際は、スズキの焼き魚を持ってきていただくと、大国主命様はお喜びになるかもしれませんよ(警備員にとめられるかもしれませんけれど)。

お待ちしています ♪




こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。

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