超時空薄幸児童救済基金・16のRe

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……と、その前に。

皆様、明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。

※このテキストは「超時空薄幸児童救済基金・16」の有料部分の続きです。手前部分はこちらになります。https://note.mu/izunohiranari/n/n33f83e176dd7?magazine_key=m4e5b246a40ca


 新年を迎えた。
 初詣にでも行こうかとしていたところに、連絡役の男が訪ねてきた。

「明けましておめでとうございます」

「ああ、おめでとう」

 新年の挨拶に来たわけではなくて、言づてを聞きに来るタイミングがこうなってしまったらしい。

「まあ、彼女のほうも月一回の手紙を送るのは大変そうみたいだものね」

「そうですね。近頃では、半月以上も森で過ごすようですから……」

「えっ、ずっと森にいるの?」

「いやいや、砦に戻ってはまた出る――といった感じですが」

「じゃあ、年越しの祭ではまた亀を食べ損ねたりしたのかな」

「さあ、それはわかりませんが……」

 言づてはどうするかと聞かれたので、まずは「貴君の騎士への姿勢に共感す。このまま精進されたし。手紙は遅れてもよいので、縫い針は指に刺さぬよう」というもの。
 それと、「若い騎士から技の詳細を引き出すには、姫への手紙を書かせよ。その文面に、弟子に教えた技の解説も含めればよい」といった感じの、騎士ガンハイズに関するアドバイスもだ。
 それと、服のことも……。

「生地を送っても、砦で服に仕立てるのは難しいよね」

「あちらの住人は、本業でなくてもある程度のことはできるとは思いますが」

「騎士の訓練や、森での活動に適していて、それでいて過度に贅沢でないものを、『低地』で仕立てて送ることは可能だろうか?」

「後見人からの支援と考えれば、それほど不自然ではないですね。手紙で状況を報告しているわけですし、以前の追加した寄付で購入した彼女名義の土地からの収入もありますので……」

「それは言づてに入れずにお願いするよ。もう文字数オーバーっぽいし」

「わかりました。では私はこれで……。今年もよろしくお願いいたします」

「こちらこそ。じゃ、たのんだよ」

「はい」

 そう言うと、連絡係の男は去っていった。

 新年の最初の月が終わらないうちに、彼女が新しい服を着られるといいんだけどな。
 「中央低地」から届けるとなると、時間がかかってしまうかなあ……。



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