超時空薄幸児童救済基金・F
(はじめに)
マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。
こちらの、アルファベットがついているシリーズは、「私」が新たな寄付をして後見人となった、「ふたりめの少女」のシリーズで、「ひとりめの少女(数字がついたほうのシリーズ)」とはシステムが異なります。
約二ヶ月の間に、時々届く少女からのメッセージ部分と、それに伴う「私」の感想部分が有料となります。届いたメッセージは、ひとつのマガジンに6回分(12通以上のメール+手紙を読んだ「私」の感想)が収録される予定です。
「ひとりめの少女」のほうを読まなくても、こちらだけで独立して楽しめるものにするつもりですが、両方読むほうが楽しめます(絶対に!)。
では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物をお楽しみください。
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もうひとりの少女の危機が去ったと思えば、今度はメイシア船長が大怪我をして入院していたことがわかるとは……。
なにしろ、全治六ヶ月(治療期間は六日だったらしいが)の怪我だ。
恐らく、あちらの世界の技術で内臓や結合組織の再生も行われたのだろう。
命には別状なく、治療も順調だと知ってからは、気になるのは治療費のこと。
はっきりとはわからないが、あちらの世界には文明が進んでいる星系もあればそうでないところもある。そう考えると、「スロードラッグ」なるものを使った高速の再生医療が「安価で一般的」だとはとても思えないからだ。
とはいえ、メイシア船長は海賊を一人で倒し、パトロール艦を救った恩人なのだ。その恩人に迅速な治療を施せないなら、海軍は面目を失うだろう。
だから彼女が入院しているのは海軍関連の設備の可能性が高い。もしくは、王政のオルモリクは技術も進んでいると書いていたので、そこの病院にいるのかもしれない。
もし海軍が彼女の治療費を肩代わりせず、賠償金も払ってくれないようなら、訴えてもいいと思う(どこに訴える?)。
いや、まあ、あちらの世界で、小さな貿易会社の船長が、海軍相手にそんなことができるのかどうかは私にはわからないが……。
それでも、後見人としてのアドバイスはこれでいこう。
モーゲンストル商会にとっては降ってわいた災難なわけだし、その責任は明らかにオレイガンにあるのだから!
この海賊騒動のせいで、オルモリクのことがわからずじまいなので、交易品に関するアドバイスが全くできないから……という理由もあるのだけど。
ただし、技術の進んだ星系ならヴォルクォーツを高く売れる可能性は高い。考えてみるよう勧めておくか……。
フレッタ号がどうなったのか、ハイデイはどうしているのか、運送料の未払いの記録が見つかったネシールクのことは忘れてないか、その辺も書けるといいのだが、字数が限られているから……。
そう思いながら、私はメールを書き進めた。
ジョン・スミスより メイシア船長へ。
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