超時空薄幸児童救済基金・E

#小説 #連載小説 #ゲーム

(はじめに)

 マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。

 ただし、こちらのアルファベットがついたシリーズは、「私」が新たな寄付をして後見人となった、「ふたりめの少女」のシリーズで、「ひとりめの少女(数字がついたほうのシリーズ)」とはシステムが異なります。

約二ヶ月の間に、時々届く少女からのメッセージ部分と、それに伴う「私」の感想部分が有料となります。届いたメッセージは、ひとつのマガジンに6回分(12通以上のメール+読んだ「私」の感想)が収録される予定です。

「ひとりめの少女」のほうを読まなくても、こちらだけで独立して楽しめるものにするつもりですが、両方読むほうが楽しめます(絶対に!)。

では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物をお楽しみください。

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 いつものようにメイシアへの返信メールを送る前に、急いで連絡役の男に伝えるべき用件があった。
 彼女の世界のことではなく、私が支援しているもう一人の少女、コトイシ世界の従騎士の緊急事態を報せる必要があったのだ。
 コトイシ世界のやりとりは連絡役の男が訪ねてくるのだが、今回ばかりは「一刻を争う事態」なので、なるべく早く連絡を取りたかった。
 コトイシ砦でトゥーエティの身に起こった事件について手短にまとめ、私からの言づてを付け加えて送信して、ひと息つく。

 これでようやくメイシアにメールを送れる。
 どちらかといえば、彼女のほうがコトイシ世界のトゥーエティに比べるとずっと危なっかしく、何かしでかしそうでハラハラしていたのだが、良い子のトゥーエティがあんな事件を起こしてしまうとは……。
 良くも悪くもメイシアは一国一城の主――自立した船長だし、なんだかんだ言っても自分で自分の面倒をみられるのかもしれない。
 海軍にコネを作り、それを足がかりにロイムを狩り、知恵と工夫で高価なヴォルクォーツを手に入れたわけだから。
 なんて感心していると、何か良くないことが起こりそうだ。
 新米の船長だから、心配は心配なんだよなあ……。

 まず注意すべきは海賊だろう。
 フレッタ号にヴォルクォーツが積まれていると知れれば、蜜に群がるアリのように海賊が寄ってくるのではないか?
 これまでの報告から察するに、治安は各星系ごとに異なるみたいだけど、宇宙空間では、なかなか当局に守ってもらうわけにもいかないと思う。
 基本、無法地帯なのではないか?
 めぼしい荷を積んでいそうもないオンボロ船だから狙われない――ならメリットだが、ひとたび目を付けられてしまったら、ただの「逃げきれないし反撃もままならない老朽船」なのだから。

 それと、私は「メイシアの父の友人」ということになっている。
 昔の両親のことを聞かれていたが、なんと答えるべきか……。
 そんなことを考えながら、私はキーボードに向かった。


ジョン・スミスより メイシア船長へ

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