超時空薄幸児童救済基金・2のRe

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 少女からの二度目の手紙が届いてから何日か過ぎたが、最初の手紙のときと違い、私はもう彼女の後見人であることを忘れたりはしなかった。

 というより、連絡役の男が来るのを待ちわびていた。ようやく彼が現れたときには、「なぜもっと早く来なかったのか」と怒ったように出むかえてしまったほどだ(あとで考えると、少し恥ずかしいくらいの勢いで……)。

「どうしました?」

「今回も、彼女に返事を送れるんだよね」

「ええ、もちろんです。その件で伺いました。なにか言づてがありますか?」

「あるよ。けど、その前に……」

 この機会に、少し聞いておきたいことがあった。手紙の訳についてだ。この訳は、どこまで信用していいのだろうか。信用というと大げさだが、要するにどこまで言葉通りの意味にとっていいのかどうか……ということだ。

 例えば、彼女が自分の容姿について「栗の実の色の髪」と書いている(というか訳文がそうなっている)部分は、彼女の世界にも「栗」があって、それはこちらの栗と同じような色なのだと理解していいのだろうか。

「さあ……私にはなんともわかりません。ただ、できるだけこちらの世界の人に近いイメージを持てるよう訳されているはずです」

「ふむ」

 だとすると、あくまで近いというだけで、違う可能性もあるわけか。髪の色は同じでも、彼女の原文では栗とは違う果実(あるいは植物……ぐらいのくくり?)に例えている、とか? 「竜」にしても「騎士」にしてもそうだ。第一、彼女は騎士の話はしても馬の話はしていたか……?

 いや、待て。

 たしか、最初の手紙に「馬車」とあったはずだ。訳文を出して調べてみる。

 間違いない。ということは、馬はいるのだろう。そのことを聞いてみても、連絡役の男の答えは要領を得なかった。「乗用に使う動物、のイメージで『馬』という言葉を使っているのかもしれませんね。いや、私も詳しくは知らないのです。申し訳ありません……」などと、妙に歯切れが悪い。

「なんでしたら、騎士のことを詳しく書くよう伝えましょうか?」

「ああ、それも興味を持っていた……と伝えて欲しいけど、直接の言づてとしては『栄養を取ること。また、当方は“タフルィース”を知らぬ。説明されたし』でお願いします」

「かしこまりました」

 窓口の男は、一礼すると去っていった。

 贈り物のことを聞き忘れたのに気づいたのは、彼が帰ってからのことだった……。

 まあいい。次の手紙が来るまでに、もう一度くらい来るだろう。

              

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