Fローズで遊んだ

 35年ぐらい前に発売された「ローズ・トゥ・ロード」という国産初のTRPGがあった(まだテーブルトークという言葉を付けずにただ『RPG』と言えば電源を使わない、会話でやるボードゲームのことだけを指していた時代だ)。
 その10年ぐらい後にその三代目のリニューアルシステムとして発売されたのが「ファー・ローズ・トゥ・ロード」、通称「Fローズ」だ。
 それまでの間、高校生から大学卒業したあとぐらい(だったと思う)まで、取り憑かれたようにTRPGで遊びまくっていた私が、初めて製作に関わったゲームだった。
 といってもまあ最初は、発売元の会社で出すゲームのお手伝い的に、PBMの合間にテストプレイに参加するだけだったんだけど、あまりに面白いゲームなのでテストプレイ中から夢中になり、熱心に手伝いだして、サプリメントではシナリオを書いたりもしたしイベントでマスターをしたりもしていた。そんなTRPGのシステムなので、かなりの回数遊んでいる。
 といっても2010年を過ぎた辺りからは、せいぜい数年に1回ぐらいしか遊べていないが、テストプレイのとき作ったPCをずっと使い続けていて、このPCだけでも3~40回はプレイしている。
 森の妖精のニュート、16歳だったが、これまでの冒険の間にひとつ歳を取って17歳になった。まあこの世界の妖精は老化しないので歳はあんまり関係ないんだけど、だからこそ普通は、妖精のキャラを作った人は(種族はキャラメイクの時にランダムで決まる)何百歳とかにするが、「どうせなら、幼い世間知らずの妖精で、色々と知るために旅に出たことにしよう」ということで、妖精にしては不自然なくらい若くしたのであった。

 そのテストプレイ時代から、使い続けて25年……。
 何度かキャラクターシートを作り直してきたが、このゲーム、シナリオの間にもらったカードでランダムに使えるようになる魔法を手に入れて増えていくので、それを書き写すのがけっこう大変だ。
 サプリメントの中で紹介されたりもしてイラストも描いてもらったりしたので、キャラクターシートも代替わりするたびに変えてみたりした。

 FローズはレベルアップとかはしないTRPGなので、少しずつ能力値や技能(この写真には写ってない)、それと前述の魔法が増えていくだけだ。
 その上昇も微々たるものだが、さすがに何十回もシナリオに参加しているとけっこう上がるものだ。ニュートの場合は、感覚ばかりがやたらと上がってしまった。

 前日に、せっかくだからキャラクターシートを新調することにして、書き写した。魔法の効果を四十個も書き写すのは大変だったが。

 で、昨日は5年ぶりにこのFローズしばりのTRPG会にお誘い頂いたので遊んできた。キャラクターは、旧知のGMだったのでニュートで参加してきた。今ではニュートは拠点にしている街の近くに農場や家を持っていて、旅人を停めたり、食い詰めた人を雇って野良仕事してもらったりしている。作ったばかりのキャラクターに軍資金を貸して防具や武器を整えてもらって旅に出たりもしている。
 今回は、旅の途中で鬼と戦うお話だった。
 旅の仲間ふたりと移動中、雨宿りしに入った洞窟が、鬼に襲われた隠者の住処だった。一匹残って本を読んでいた半鬼と言葉が通じなくて事情を聞けないまま倒したら、他の鬼が戻ってきてさらに戦闘になった。
 クステが「大亀」の仲間がいて(戦闘中や騒がしいときは、大失敗が起こる難儀な生まれの人。ちなみにニュートのクステは「一角獣」)、ファンブルを起こして死んでしまうところだったが、「哀れみ」の感情を捨てることで何とか生きのびた。今後彼は哀れみの感情を持たず、人に同情することはなくなったのだが、死ぬよりはましだ。
 そんなこんなでなんとか鬼を倒し、洞窟をあとにしたのであった。短いシナリオだったが、久しぶりに劇的なことが起こって面白かった。

 やはりTRPGは面白いな。

テキストを読んでくださってありがとうございます。 サポートについてですが……。 有料のテキストをご購読頂けるだけで充分ありがたいのです。 ですので、是非そちらをお試しください。よろしくです。 ……とか言って、もしサポート頂けたら、嬉しすぎて小躍りしちゃいますが。