超時空薄幸児童救済基金・11のRe

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※このテキストは「超時空薄幸児童救済基金・11」の有料部分の続きです。手前部分はこちらになります。https://note.mu/izunohiranari/n/ndd23e46aa787?magazine_key=m4e5b246a40ca

※しばらく中断しているため、現実の季節とずれてしまっていますが、「返事が来なかった」、「手紙を読んでいなかった」等の強引な調節をせずに、ずらしたままで継続していく予定です(まだ滞りそうですが、来年春まで引っ張ったりはしたくないので……)。



 私にもなにかできることはないのか?

 あれからずっと悩み続けているが、なにも思いつかない……。

 後見人になった異世界の少女を襲った突然の苦境――。
 手紙を読み返し、そのたびに焦燥感にとらわれる。
 砦が破損し、住処は燃え落ち、騎士見習いの少女は今、砦への支援を要請しに、たったひとりで遠く離れた地に赴き、心細い思いをしているのだ。

 あんな手紙を受け取りながら、なにもできないなんて……。
 後見人のくせに、世界が違うばっかりにかけつけてやることもできない。
 追加の寄付をしたい――と申し出てはいたが、仕事がたまたま端境期で正直ちょっと懐が寂しい。
 いや、コトイシ砦の苦境に比べたら、その程度の不都合どうということはないのだが……。
 そもそも、お金では砦の修復ぐらいしか支援できない。
 砦も大事だが、なにより今の彼女には他の助けがいると思うのだ……。
 たとえ世界が異なっても、なにかしてあげられないものか……。
 だが、いくら考えても名案は浮かばない。

 連絡役の男がやってきたのは、そんなときだった。

「追加の寄付、認められました。砦の修復にシォナン家から支援があったという形ならば不自然ではありませんから」

「彼女は、まだ砦には戻っていませんか?」

 私が聞くと、男はうなずいた。

「まだです。あれから木賃宿を出て、今は騎士エンドゥキの館にいるようで」

「あのさ、ひとつ相談があるんだけど……」

 無理は承知の上で、私は思い切って聞いてみた。

「きみたちは、あちらの世界と物をやりとりできるよね。ってことは、人も行き来できるんだろ。彼女に会いにいけないだろうか……」

「申し訳ありません。お気持ちはお察しますが、それはできないのです。ある程度の物品を送ることはできますが、人の行き来は不可能なので……」

「やっぱり……」

 表向きはそう言っているだけで、実際は超時空薄幸児童救済基金の人間は行き来しているのかもしれない。そもそも、私は我々の世界に彼らの本部があるのかどうかさえ知らないのだから。もしどこかの異世界に本部があって、こちらでは寄付を募ったり連絡したりするだけだとしたら、この男もこの世界の住人ではないのかも知れない……。
 私がぼんやり考えていると、男が言った。

「もし仮に会えても、言葉も通じないでしょうし、彼女の助けにはならないかと。異世界のあなたが後見人だと知っても戸惑うだけでしょうし……」

「そうだね。じゃあ、手紙を送るってのはどう? いつもの言づてではなくて、もう少し長めの手紙を」

「ふむ。訳したものをあちらの紙に手書きで写さないといけませんので、なかなかの手間ですが……わかりました、問い合わせてみましょう」

 男はそう言うと、言づてを聞かずに去って行った。

 そういうことなら、たとえ届けられなくても手紙を書いてみることにしよう。なにもしないよりはいいだろうから……。

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