超時空薄幸児童救済基金・17のRe

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 手紙を読み終えて数日経ったとき、連絡役の男が訪ねてきた。

「どうも。寒い日が続きますね」

「暖冬だっていうし、あっちに比べたらそうでもないんじゃないかな」

「たしかに。そういえば、前回の言づては間に合っていましたか?」

「まあ、辛うじてね。言づてが届いたときには、騎士たちがほぼ総出で狩りに出るところだったみたいだ」

「えっ? 竜を狩りに……ですか?」

「いやいや、イギツ蜥蜴だって。ただ、恐ろしく巨大なやつらしい。大丈夫だとは思うけど……」

「そうですね。騎士たちが一緒ならなんとかなるでしょう。彼女は補佐でしょうし」

 そう答えた連絡役の男に、私は言った。

「で、次の言づてを聞きにきたの?」

「そうです。早いうちにあちらに届けておければと思いまして」

 まあ、騎士たちが砦に戻らないうちに言づてが届いても、彼女は答えようがないだろうけどね。

「ひとつ聞いておきたいんだけど。私から、あちらの世界の宗教についての質問をしてもいいのかな? もしかして、私にはそうした情報を伝えないように細工してる?」

 思い切って疑問をぶつけてみると、男は首を傾げた。

「さあ……そんなことはしていないと思いますよ。ただ、以前にも言いましたが、あちらの住人なら周知であろう知識に関する質問は避けてください。これは宗教に限ったことではありません」

「てことは、結果的に聞けないってことじゃないか」

 しかたない。
 言づては「学問の継続と、妙技の習得の早さに驚嘆す。幻惑の技はよくよく磨かれたし。未完成のまま実戦で試さぬこと」とでもするしかない。
 そう告げると、男はうなずいた。
 かすかにホッとしているようにも見える。

「では、そう伝えておきます」

 そう言って、男は去っていった。

 うーん、どうも怪しいなあ。
 院長先生の素性についても聞いてみたほうがよかったかもしれない。
 でもまあ、彼らが隠しごとをしているかどうかより、今は少女と騎士たちがイギツ蜥蜴を相手に無事で帰ってきてくれるかどうかのほうが気にかかるわけだが……。


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