超時空薄幸児童救済基金・4のRe

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「どうですか? お考えいただけましたか?」

 このところ連絡役の男がなかなか現れなかったので、不意に訪ねてきた彼がドアを開けるなりこう聞いてきたとき、何のことを言っているのかすぐには思い出せなかった。

「ああ、もう一人への寄付という話か」

「そうです。前回と同じくらいの金額でしたら、ちょうど苦境に陥っている少女を助けられるかもしれませんので」

「苦境?」

「はい。学費が払えず大学を卒業できなくて困っている少女が……」

「また、孤児なわけ?」

「ええ。両親を船の事故でなくして、幼い彼女が一人残されたのです。父母の保険金とアルバイトで、ここまでの生活費や学費をなんとかまかなってきたのですが、いよいよ学費が払えなくなりまして……」

「待った」

「はい?」

「詳しく話さないでよ。まだ決めたわけじゃないんだから」

「しかし、彼女は残った唯一の財産である、父母の形見の貿易船を手放すしかないところまで追いつめられているのです。商船の大学に入ったのは父母の後を継いで貿易会社を立ち上げたいからなのに、学校を卒業できなくては資格を得られない。といって、船を売って学費を工面すれば、資格があっても肝心の船がないことに……」

 なんでそんな詳しく話すんだよぅ~。
 なんとかしてやりたくなっちゃうでしょ!

「わかった! わかったよ!」

「では、後見人になっていただけるので!?」

「あ~。う~。決めかねてるけど、前向きに検討する……って感じ」

「そんな! 彼女は卒業までもう間がないんですよ」

「そんなこと言われたって……。返事はまた今度!」

 強引に話を終わりにすると、男は不満そうな顔で「しかたありませんね……。言づてを聞いたら引き上げます」と言った。
 そうそう。今はそっちのほうが大事だよ。
 私は、今月はあちらの世界で手鏡を調達してもらい、「誕生日の贈り物を送る。従騎士になるべく精進されたし」と伝えて渡して欲しいと頼んだ。

「あちらで調達するのでよいですね」

「あっちに、どの素材が存在しないのかがよくわからないから下手に用意できないもの。希望としては、なるべく邪魔にならないよう、小さいけれど丈夫で高価なものにしてあげてくれる?」

「かしこまりました。くどいようですが、もう一人の後見人の件もよろしくご検討ください」

「あ、ああ……」

 どうもしつこいなあ。やっぱり詐欺?
 でも、すでに私が「他の時空のどこかで困っている少女を、助けられるなら……」という気分にさせられているのはたしかだ。
 でも、辺境の騎士見習いの少女で手一杯だし……。
 どうしたものか……。

              

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