超時空薄幸児童救済基金・1のRe

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  まだ後見人という実感はないが、少女の真摯な気持ちの伝わる手紙(訳文)をときどき読み返したり、直筆のほうの拙い文字を眺めたりしては、そんなことを考え、何日かが過ぎた。

 そんなある日のこと――。あの窓口の男性がまたやってきた。なにをしに来たのだろう。手紙は「月に一回」と言ってたのに?

 疑問を口にすると、彼は「伝言があるかの確認に参りました」と答えた。つまり、後見している少女に、こちらからも返事を出せるということ?

「はい、可能です。なにかと制限はありますが」

 原則的には、手紙などを長々と書くことはできないらしい。

「『後見人からの伝聞』として現地人の口からメッセージを伝えます。世界によっては電報で渡すこともあります。あのくらいの情報量だと思ってください」

 「喜ばしい」とか「遺憾に思う」とか「誇らしい」とか「なお一層の努力を」とか……そういったこちらの感情や意向を伝えられる、と考えればいいのだろうか。電報を参考に……と言っていたから、文字数が限られたりするのかもしれない。

「伝言の内容についても十分に吟味してください。例えば、本名を教えるのはよくないでしょう。音の響きがかけ離れていますから」

 少女は、後見人(私)が異なる世界の住人とは知らないのだ。こちらの世界の常識を押しつけたりするのはあまり感心しない……ってことか。まあ、そうだろうな。理解はできる。ただ、これ全体が「もっともらしい詐欺」という疑惑は、まだまだ拭えないが……。

「寄付の追加はもちろん、節目ごとに品物を与えることも可能です」

「え~っ? それって矛盾してないか? たった今、あんたは『こちらの世界のことを教えるな』って言ったろ」

「いやいや、矛盾はしていませんよ。現地で調達でき、なおかつ、寄付した金額内で捻出できる品――に限られますからね。ただし、ちょっとした記念品など、材質や技術的な面で現地にあっても違和感のない品ならこの限りではありませんが」

「ははあ……」

 まあ、そこまでする気はないけどね。

 あとは名前か。べつに「おじさま」のままでもいいんだけど、彼女のほうは名無しの後見人じゃあ気になるだろうしなあ……。すぐには思いつかなかったので、私は彼に言った。

「まあいいや、名前はこの次にしよう。とりあえず『手紙はとてもよく書けている。気に入っていた』と伝えて欲しいけど、いいかな?」

「わかりました」

 どう伝えるのか知らないが、彼はそう言うと帰っていった。

 来月、この伝言が彼女に影響するのかな。どうなんだろう……。

              

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