超時空薄幸児童救済基金・5のRe
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「先日は、お電話で失礼しました」
開口一番、連絡役の男はそう切り出した。
そう、もう一人の少女、メイシア・モーゲンストルの件に関して、彼は電話で連絡してきたのだ。コトイシ世界のほうは直に手紙が届くから、今後も彼が訪ねてきて来てくれるらしい。
「電話では話しそびれたけど、手鏡のことではかなりショックだったよ」
私が彼女の手紙の内容を簡単に説明すると、それを聞いた男は、ずいぶんと驚いた様子だった(彼は、私宛の手紙そのものには目を通さない……ということなのだろうか)。
「だから、いずれ渡すことになるけど、それまでは私が預かっておくよ」
「そうしてください。しかし、気丈なお嬢さんですね」
「ああ。まったくだ」
今日は他に用事がないらしく(いつもはあちらが「もう一人の後見人にならないか」としつこく勧めてきたり、逆にこっちが贈り物の注文をしたりしているので長居するのだ)、「それでは今日はこれで……」と帰りかけた男を、私は慌てて呼び止めた。少女への言づてを忘れていたのだ。
「あまり長いのは困りますよ」
「わかってるって。だったらまず、直接の言づてじゃなくていいからこれだけは伝えてくれ。『決して甘やかすつもりなかった。そう感じてしまったならすまない。気をつけるよ。ただ、立派な騎士になろうと努力している貴女を手助けしたいと思っているだけだから』ということをね」
「了解しました。直接のメッセージではなく後見人の意向を伝聞で伝える――ということは可能ですので」
「言づてのほうは、『鏡のような騎士になるべく精進すべし。マナイ師には地理、政治を学ぶことを勧める』でお願いするよ」
「ぎりぎりの長さですね」
男が苦笑する。
やはり彼らは、後見人と異世界の児童が交流を持つのはよくない――と考えているのだろうか。こっちだってこれでも気を遣って、同じ世界の人間のように言づてを考えているつもりなんだけどなあ。
いやまあ、地理や政治を学んでもらうと、手紙にそうした内容が書かれるかな……と思ったのは確かだけどさ。
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