超時空薄幸児童救済基金・B
(はじめに)
マガジンの冒頭でも簡潔に説明していますが、奇妙な慈善団体に寄付をし、異世界で暮らす恵まれない少女の後見人となった「私」の日記です。
ただし、こちらのアルファベットがついたシリーズは、「私」が新たな寄付をして後見人となった、「ふたりめの少女」のシリーズで、「ひとりめの少女(数字がついたほうのシリーズ)」とはシステムが異なります。
約二ヶ月の間に、時々届く少女からのメッセージ部分と、それに伴う「私」の感想部分が有料となります。
メッセージは、Twitterのつぶやき的に毎日……は厳しいかもしれませんが、数日に一回は届く予定です。
「ひとりめの少女」のほうを読まなくても、こちらだけで独立して楽しめるものにするつもりですが、両方読むほうが楽しめます(絶対に!)。
では、奇妙な「ひとりPBM」的創作物をお楽しみください。
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「どうして帰っちゃったのさ? まだ話すことがあったのに」
コトイシ世界からの手紙を届けにきてから数日後、連絡役の男から電話がかかってきたので、私は開口一番に文句を言ってやった。
星から星へ自由貿易船を駆る二人目の少女――メイシア・モーゲンストルのことも相談したかったのに、彼はさっさと引き上げてしまったのだ。
まあ、こっちも渡された手紙が「良くない報せ」と聞き、おろおろしてそれどころではなかったから、あまり強気には出られないのだが……。
「申し訳ありませんでした」
「メイシアに返事をしたいんだ。そろそろ何とかならないか?」
「こちらもその件でお電話したのです。ただ、あちらの世界の超光速通信回線を、みだりに使うわけにもいきませんので……検討した結果、二ヶ月に一度だけ最小単位での通信をお願いします」
超時空薄幸児童救済基金のアドレスへメールすれば転送してくれるらしい。
だったら、次の知らせが届く前に、一言伝えておくべきだろう。
「わかった。さっそく送らせもらうよ」
独立した貿易船の船長に、あれこれと小言を言うのは反感を招くかもしれないが、老婆心ながら忠告はしたくなる。一応、後見人だし……。
そんなことを思いながら、メールを書くことにした。
出資者より メイシア船長へ。
貴君の船出を喜んでいます。目下の問題については、件の士官候補生の上官に直訴なさい。それから一言だけ苦言を……。船乗りに酒はつきものとはいえ、信頼できる乗組員なしに陸で羽目をはずしすぎぬように。追伸――二ヶ月後の寄港地では、交易品の候補を当方にも教え願いたい。では、良い航海を!
こんなところだろうか。
これでも一人目の少女への言づてよりはずっとたくさん書ける。ただ、二ヶ月に一度となると、一方的なやりとりになってしまうのは仕方ないかも。
できれば、二ヶ月後の貿易に助言できるといいな。いや、宇宙船での恒星間貿易の知識なんかないけどさ。
メールを送って数日後、早速、メイシアからの航宙報告が届いた。
こちらのメッセージはもう届いているのだろうか?
超光速通信らしいから、届いているとは思うのだが……。
メイシアより おじさまへ。航宙報告7
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