私はゆうちゃんの何位だったんだろう

 私は3時のヒロイン福田麻貴さんが好きだ。彼女が最近話題のClubhouseを始めたというのを見て、情報を逃すこと恐怖症(Fomo)の私は、既にClubhouseに招待されて麻貴ちゃんのトークを聞ける人を妬みに妬んだ。同じく大好きなフワちゃんもさっしーとなんか楽しそうな話してるし、早く私も仲間に入りたい!!!と地団駄踏んだ。

 しかし悲しいかな私には、友達はいるが、その誰にとっても、たった二人の枠に招待したくなるような優先度の高い友達にはなれていない。知らんけど、なんとなくそうかなと思う。まだそこまで私の周りにClubhouseが浸透していないということもあるのだが、確実に招待されるのは遅い時期になると思う。 
 
 興味無いと言ってる友達もいるが、好きな芸能人が友達の芸能人と話しているところなど、そうそう見られない面を彼らが公開しているうちにキャッチしたいのだ。テレビでは共演しててもそんなに話さないし、ラジオならまだ内輪感は出るが、今のところ一番普段の会話に近い会話が聞けるのがClubhouseなのではないかと思う。お金も発生しないのに、ただやりたくてやってる超個人的ラジオ。聞くしかない…………のに聞けない!!

 招待制は、露骨に友達に優先順位をつけるエグい制度だなと気づいて思い出したのが中2の時の夏祭り。
 当時、土曜日に習い事をしていた私は、毎年7月半ばのある土曜日にあるそのお祭りへは、小学校高学年頃からみんな友達を誘って行くようになっても、私は行ったことがなかった。本当に全く行かないうちに、誰と一緒に居るか、遊ぶかで学校での立ち位置が決まる中学生になった。その年はたまたま習い事は休みだったが、お祭りに行くという文化がなかった私は、学校のみんなが「あの子と夏祭り行ったら楽しそうやけど、あの子は〜と行きそうやな。天秤にかけられたら私負けるし、この子に声掛けよ。多分勝てる」という駆け引きに命を懸けている中、当然行かないものだと思っていたので、誰にも声をかけていなかった。

 すると中1のときに同じクラスだったが、2年ではクラスが分かれたゆうちゃんに「夏祭り行かん?」と声を掛けられた。

 正直驚いた。

 ゆうちゃんとは1年のとき、普通に仲が良かった。掃除場所が1年間ずっと同じで、毎日楽しく話していた。しかし普段のグループは異なっていたし、ゆうちゃんは陽キャの象徴陸上部、私は弱小部活剣道部だった。また当時携帯を持っていたゆうちゃんは、他の携帯を持ってる子達とSNSで繋がり、学校内外に友達がたくさんいた。対して携帯を持っていなかった私は友達も多くはなく、流行にも疎かった。ゆうちゃんは一軍、私はせいぜい頑張ったところで二軍という感じだった。

 気は合うものの、中学生独特の強いカースト信仰からすると、ゆうちゃんが、ステータスも違う、クラスも違う私を、年に一度の夏祭りへ一緒に行く相手に選んだことがどうにも不思議だった。浴衣を着て、ここぞとばかりに友達を引き連れて歩く人達もいるのに、私と歩いてほんとにいいの??と思った。

 陽キャの友達がたくさんいるゆうちゃんが、私に一番に声を掛けるわけがない。私よりもっと、ウェイな子と行ったほうがステータスになるのに。「あの子を誘えば大丈夫だろう」もしくは「あそこに誘われるだろう」の駆け引きが何回か失敗した結果、私に行き着いたんだろうと悟った。

 一体私は何回目の駆け引き相手だったのだろう。彼女の中で、私は何番目に声掛けを優先されたのだろう。もちろんゆうちゃんとはとても楽しく話せたので、夏祭り当日もそこそこ楽しかった。しかし、時々すれ違う、私から見た「ゆうちゃんと夏祭りへ行きそうな陽キャ」達と交わすゆうちゃんの言葉を聞いて、ほんとはその子達と行きたかったんじゃないかな、などと感じてしまった。志望度低い私なんかと一緒に居てまで、夏祭りにステータスを見出す中学生ってしんどいなとも思った。

 実はゆうちゃんは夏祭りなんて、みんなほど重視してなくて、気が向いたときにはもうクラスのみんな売り切れてたからというそれくらいの理由で、私に声をかけてくれたのかもしれない。もう中2の夏祭りに誰と行ったかなんて、ゆうちゃんは覚えていないかもしれない。それでも私は、時々、大好きだけど、一緒に遊ぶような仲にはなるには身が余るなと思ってた一軍の子に誘ってもらえた嬉しさと、果たして私は彼女の第何希望だったのかという疑問を抱えながら、海沿いの広場の芝生に座って眺めた花火を思い出す。私は肉眼で、ゆうちゃんは、スマホのカメラ越しに観てたことも、私は覚えている。 



 

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