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AIにVtuberとして勝手に配信してもらう
Vtuberの配信は楽しい。実在と非実在の絶妙な距離感のおかげで他にはない魅力がある。自分の顔を映さなくても表情だけ伝えられるので長時間の配信にも向いている。最近は日本以外でもVtuberが活躍するようになった。
これでも十分楽しめるのだが「完全にバーチャルな」つまり、全てを人工知能に任せた配信というのも捨て難い理想である。人間でないAIが自分から話すことなどSF映画の話のように思える。しかし実は技術的には不可能ではなく、すでに運営している方も多い。一方でAIが既存のVtuberと同じ土俵に立つには課題が多い。
今回はこれを乗り越える意気込みと私が作成したAIVtuber『真流賀レイテ』についての記事である。
AIと人間の違い
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無機質さ
まず既存の「Vtuber」の魅力とは何か。それはキャラクター性である。錬金術師からメイド、柴犬まで幅広い個性も持っている。もちろんそれに忠実すぎるとアニメやドラマの登場人物と変わらない。適度にそこから逸脱するような人間性が茶目っ気として人の目を引くのである。
話し方にしても「らしく」話すことができる。独特な口調や言い回しを使うことで個性が現れてくる。たとえ身近な話題でも「〜ですわ」というようなお嬢様言葉なら印象も変わって面白みが出てくる。普通の人間と違う立場で語る、という場を演出する上で話し方は重要である。
AIだとここが弱い。一般的な人工知能は標準的な敬語しか話すことができない。有名なChat-GPTも確か自然な返答ではあるが、返答は無味乾燥としている。
機械学習とは「最も可能性の高い結果」を出すことに特化しているようなものであり、当たり障りがなく無個性な会話になるのも仕方がない。
質問の受け答えなら無機質でも問題ないが、話の面白さを求める配信ではこうはいかない。欲しいのは尊敬ではなく人気であり、知性より愛嬌である。視聴者に唯一無二だと思ってもらえるような強い個性が必要なのである。
個性の獲得
真流賀レイテはそこを克服するために工夫して設計されている。まず「〜ですわ」「〜ですのよ」といったお嬢様言葉を習得させた。ほんのささいな違いに思えるが、小説やにおける登場人物の話し方、さらに言えば作者の文体が生み出すような個性を表現することができる。
自分がお嬢様であること、ゲーム配信が好きだという設定も記憶させている。基本的にはこれらを軸に雑談するため、時には具体的なゲームの名前を出すこともある。もちろん会話のバリエーションも生み出すことが可能だ。何度か行ったテスト配信の中では食べ歩きについて語る場面もあった。これによって人間のような「偏り」を生み出している。
長時間配信の壁
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耐久力
AIが人間の代わりにVtuberになるにはもうひとつの障壁がある。それは配信時間である。先述したように何時間という長丁場でもこなせるのがVtuberの強みと言える。AIなら疲れることもないから無限に配信できるのではと思われるかもしれないが、実態は難しい。
会話をこなすには高性能な言語モデルを使わなくてはならない。外部サービスのものを使用すれば精度は高くなるが、大抵は従量課金制、つまり使った分だけ費用がかかる。すでに本格的にAIVtuberを運営している方によると、1時間あたり570円ほどになるそうだ。
これはあくまで目安である上、値段やサービスの制限が変更される可能性もある。運よく収益化できれば予算面は解決できるかもしれない。しかしそれまでには登録者や配信の実績が必要名にあり、負担も大きくなる。
人工知能を自作する
そこで外部に頼らず、独自の人工知能を利用することにした。それが以前も紹介した会話AI『Eveki』である。こちらは自力で最適化したため24時間動かしても費用は一時間あたり10円もかからない。一般的なAPIが570円ほどかかるのを考えるとかなりの予算削減になっている。
ちなみに個性の導入も元から視野に入れて開発していたので、先ほどのキャラクター性の問題もクリアすることができた。モバイルにも対応しているためスマートフォンからAIキャラクターを製作することも可能になっている。これによって手軽に人工知能の調整を行うことができるようになった。
さいごに
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今後の課題
改善できたのは主に視聴者の目につきにくい、いわば裏方の機能面だけである。一応コメントに対して返信することはできるがその他は不十分である。まず肝心のVtuberがまばたきしかできないため、Live2Dでしっかりとしたモデルを作成する必要があるだろう。配信画面のレイアウトも野暮ったいままである。
AIとの会話のススメ
AIVtuber『真流賀レイテ』は機材やプログラムの不具合がない限り永遠に話し続けることができる。ラジオ感覚で配信を楽しんでもらえたら幸いである。『真流賀レイテ』と直接際できる公式LINEも開設されている。
また、会話AI『Eveki』のモバイル版を使うことで、自分だけのAIを作ることもできる。
みなさんも思い思いの形でAIとの会話を楽しんでみてはいかがだろうか。
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