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歯ぎしり・食いしばり

今週は歯ぎしり・食いしばりの悪影響についてご紹介します。
歯ぎしりは主として寝ている間の行動で、食いしばりは日中に無意識に行っていることが多く、自分がしているのかどうか認識されていない方が非常に多い行動です。
歯ぎしりや食いしばりを日常的に行ってしまっているとお口の中だけでも、
・歯が削れる・ヒビが入る・折れる
・歯の根元部分がクサビ状にえぐれてしみる症状が出る(知覚過敏)
・顎が痛くなる(顎関節症)、口が開かなくなる(顎関節症)
・歯周病が進行する
・噛み合わせが悪くなる
などなど多くの悪影響が起きるだけでなく、頭痛、肩こり、腰痛の原因にもなりかねません。
これらの多くの問題が起きる前に、自分が歯ぎしり・食いしばりをしているかどうかを知ることが大切になります。誰しもがもしかしたら歯ぎしりや食いしばりをしているかもしれませんので、次のセルフチェックを行ってみてください。

3つ以上当てはまる方は歯ぎしりや食いしばりをしている可能性が高いので注意が必要です。また、ヒビが入っている、冷たいものがしみる、歯の根元が削れている・欠けている、起床時に口の周囲がこわばる顎が疲れる・だるいなどにチェックが入る方は1つだけでも歯科受診するようにしてください。
次に歯ぎしりの種類をご紹介します。歯ぎしりというと、歯を擦り合わせるようにギリギリという擬音が当てはまるイメージをされる方が多いかもしれませんが、歯ぎしりにも色々な種類があります。
1.歯ぎしり型(グライディングタイプ)
上下の歯を左右に擦り合わせるので「ギリギリ」という音がなる特徴があり、就寝中など無意識で動かしている人がほとんどで、早く大きく動かしている人が多いタイプです。歯が摩耗しやすく、噛み合っている面がすり減ったり、つけ根が折れたり、知覚過敏になりやすいなどのデメリットがあります。
2.噛みしめ型(クレンチングタイプ)
上下の歯を強く噛みしめるので、ほとんど音は鳴らず、仕事やスポーツの時などの日常生活で、歯をくいしばる状態が習慣化している人も意外と多くいらっしゃいます。歯を食いしばっている時は、顎に大きな負担がかかります。噛む力は、自分の体重ほどの圧力がかかっている人もいらっしゃいます。また、就寝中に無意識に噛みしめている人もいて、起床時にあくびをすると、こわばりを感じることがあります。音がしないので他人には気付かれにくい歯ぎしりですが、歯が欠けたり割れたり、歯の痛みを引き起こしたり、口の周囲がこわばるなどのデメリットがあるそうです。
3.タッピングタイプ
下顎を上下に動かして上下の歯をぶつけ合うので「カチカチ」といった音が鳴る特徴があり、歯をぶつけ合う強弱は個人差があります。グラインディングやクレンチングよりも割合は少なく、歯や顎にあまり力が加わらないため、それほど大きなデメリットはありません。

上記3タイプの歯ぎしりは、1つだけの方もいれば、複数行ってしまっている方もいらっしゃいます。歯ぎしりは、歯や全身の健康に悪影響を及ぼしますので、放置せずに改善が必要です。
また、歯ぎしりは歯を失う原因のNo.1である歯周病にも悪影響を及ぼします。歯周病はあくまでも細菌が原因で、歯ぎしりが原因になることはありません。しかし、強い力が歯にかかり続けることで歯の根やその周囲の骨組織に負担がかかり歯の動揺が増したり、特定の箇所の顎の骨が減ってしまったりすることがあります。そのため、歯ぎしりも歯周病の症状を悪化させる原因の一つと言えます。なので、歯ぎしりを自覚している方、またはご家族などから指摘されている方で既に歯周病を患っている方は歯周病の治療とともに歯ぎしりへの対応もお薦めいたします。
そんな歯ぎしりの対策アイテムがマウスピース(通称ナイトガード)です。ナイトガードは自身の過剰な噛む力から歯や顎の骨を守るためのものです。就寝中に装着することで一部の歯に過剰に掛かっている圧力を全ての歯に分散させます。

また、起きている時の無意識の歯ぎしり(食いしばり)予防には認知行動療法が推奨されています。認知行動療法は次のような3段階で行います。
第1段階は行動変容の動機付け。「歯ぎしりは歯周病を悪化させる」ことを徹底して意識しましょう。
第2段階は行動変容の実施です。「上下の歯をくっつけない」、「顎の力を抜く」などのメモを貼って、メモを見た時にはこれを実施します。
第3段階は行動変容の強化です。最終的には上下の歯が接触すると無意識に歯が離せるようになることを目指しましょう。
奥歯の食いしばりを簡単に開放する方法として上の前歯の裏側に舌先をそっと当ててみてください。自然と上下の奥歯が離れます。
寝ている時の歯ぎしり対策にはナイトガード、起きている時の歯ぎしり対策には認知行動療法が効果的になりますので、歯ぎしりを自覚されている方、指摘された方は歯科受診をしてそれぞれ試してみてください。
 

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