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毎食後、歯は溶けています

今週と来週は今月医院の入口に掲示している案内板の片面をご紹介します。

まず今週は「歯は溶ける」についてご紹介します。
見た目には変わって見えるわけではないので分かりませんが、実は食事をするたびに歯は溶けています。食後、お口の中は「脱灰」という状態になり歯が溶け始めます。しかし、それだけでは誰しもが歯が溶けてなくなってしまいます。でも、皆さんの歯は溶けてなくならずに今もありますよね?歯が溶け始めても歯があるというのは、口の中にある唾液が溶けた歯を修復(再石灰化)してくれるからなのです。
脱灰とは、食べ物の中に含まれる糖をむし歯菌が酸を作り出して口の中が酸性化し、歯の表面のエナメル質からリン酸とカルシウムが溶け出すことを言います。
一方、再石灰化は、食後に分泌された唾液により酸性化した口の中が中性に戻し、溶け出したリン酸とカルシウムを歯に戻して定着させることを言います。
つまり、脱灰の時間を短くして、再石灰化の時間を長くすればむし歯にならないということになります。
再石灰化を促すには次の3つのポイントがあります。
1つ目は「唾液を増やす」こと。「よく噛んで食べる」、「唾液腺をマッサージする」ことで、再石灰化に必須の唾液の分泌を促すことができます。唾液腺マッサージのやり方については2021年10月26日付当ブログ「唾液の効果?」を参照ください。

2つ目は「だらだら食べない」こと。おやつなど間食の回数が増えると脱灰の時間が長くなり、逆に再石灰化する時間が短くなって再石灰化が間に合いません。脱灰と再石灰化については2021年11月16日付当ブログ「むし歯になりにくい食生活」を参照ください。

3つ目は「お口の中を清潔にする」こと。お口の中に食べかすやプラークが残っていると常にむし歯菌が活発に活動して、しかも増殖してしまいます。丁寧な歯みがきでお口の中の汚れをしっかりと落とすようにしましょう。
むし歯になりかけている段階であれば、この再石灰化の効果で治療を行わずに修復することもあります。ただ、ご自身で判断せずに歯科医師の指導を仰ぐようにしてください。また、むし歯は早期に発見することで、時間的にも費用的にも負担が軽減できますので、定期的な歯科検診を習慣化することをお奨めします。



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