スーパーが好きだ(2)

あんなに幅広く老若男女が集う場所、スーパーの他にないんじゃないだろうか。生後数ヶ月の赤ん坊から、文字通り杖をついたお年寄りまで、世代を問わず人間がやってくる。しかも、みんな(おそらくは)一心に食べ物のことを考えているわけで。……よくよく考えれば結構な異空間だ。

そんなスーパーでじんわりと異彩を放つ存在。それは休日のおじさんたちである。

「奥様に連れられやってきたものの特に用事があるわけでもなく、所在なさげにたたずむおじさん」の姿を数多く観測できるのが休日のスーパーだ。ぜひチェックしてほしい。

・買うあてがないであろう商品を手に取り、パッケージを読み込むおじさん。
・手持ち無沙汰に陳列棚の前をさまよい、奥様方の買い物動線を無意識に邪魔してしまうおじさん。
・レジで支払いをする奥様をサッカー台の向こうで腕組みしながらじっと待っているおじさん。
・寝ている赤ん坊(孫)を抱っこしておくよう仰せ使っているおじさん。

基本的におじさんたちは省エネ設定でたたずんでいる。そりゃそうだ、特にこの場に目的はないのだから。一方で、スーパーガチ勢(スーパーガチ勢?)の我々は、さながら獲物を追う肉食動物であり、ここは狩場だ。我が家の1週間分の買い物がかかってんだ。そんな我々の事情を知ってか知らずか、おじさんたちはのんびりと、ゆったりと空間をたゆたう。

でも最後、おそらくこの仕事のために駆り出されたのでしょう、たくさんの荷物を奥様に代わり運び、店外へ消えてゆく姿を見るのは嫌いじゃないよ。買い物導線は邪魔しないでほしいけれども。

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