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スティーヴ・ジョブズに見せたい

先日Fire TV Stick 4K MaxのSpotifyアプリでBellyのFeed The Treeをかけていたら、画面に映った写真がこれです。


歌詞の代わりにこれ


サブスクに苦言を呈するアーティストは各国から出ているし、日本でもちょっと前に女性アーティストが投下したツイートが炎上して謝罪にまで追い込まれていましたけど、その時も「ヤなら使わなきゃいい」という発言がユーザーからアーティストに向けられていました。

が、その言葉はアーティストに向けられるべき言葉ではないと私は思っています。「ヤなら使わなきゃいい」それはリスナー側に向けられるべき言葉だと。ストリーミング配信サービスで配信しているバンドはそれが最善だと思って配信してるバンドばかりじゃない。ミュージック・ビジネスの現在の風向き的に、仕方なく配信している人たちもいる。このグラフィックは一言でそう発信していると思いました。なんならタニヤ・ドネリーは中指くらい立てたいのかもしれない。なにしろ毎年のSpotifyWrappedで自分のだけでなくSNSでシェアされる色んな人の「今年あなたがいちばん聴いたソング」の回数を見ても明らかですが、普通に生活している人ひとりが1曲を繰り返して聴くのは、どんなに気に入った曲でも1年で50回程度がせいぜいです。1再生0.1円のSpotifyで熱心に聴かれた50回が支払われる金額は約5円ですから、Spotifyで配信しながら「Spotifyを削除しろ」というメッセージを発信したくなるのは当たり前とも言える。

90年代、米国を中心に世界で大ヒットしたBellyの代表曲でもあるFeed The Treeは2001年に私が購入したiMac Flower PowerにプリインストールされていたiTunesにデフォルト搭載されていたプレイリストの中の1曲です。そのプレイリストはスティーヴ・ジョブズが自ら選んだと言われていて、1992年のヒット曲であることから彼が当時のカレッジ・ロックを楽しんでいた世代だと推測もできるし、多分彼のお気に入りの曲だったのは事実なのでしょう。

iTunesはパソコンで音楽を聴く、パソコンで手持ちの音楽を管理するためのアプリとして公開され、今のライフスタイルの基礎を作ったアプリとも言えますが、スティーヴ・ジョブズは知的財産の保護に関しては細心の注意を払っていました。それでも音楽業界は最初は猛反発していましたが。

単にiPodが売れて儲けたいなら、ネットからのダウンロードを容認すればいい。しかし、それではせっかく音楽を作り出した人たちが幸せにはなれない。知的財産は守る。作品を生み出したアーティストが対価を手にできるようにする。本当に著作権を持っている人が十分に潤う仕組みを作るのだ、と奮闘した。iTunesストアを作り、そこに主旨に賛同してくれるレーベル、大手5社に参加を呼びかけた。「自らのために正しいことをしてくれと説得して歩くのにあれほど時間を使ったことはなかったよ」

『スティーブ・ジョブズ II』:ウォルター・アイザックソン/講談社

SpotifyもNapstarに異論を唱え、アーティストの知的財産を守り、きちんと分配するシステムを作るってとこからスタートしてたらしいですが、少なくともそれがなされた世界にはなってないし、今のこの2020年代の世界で、音楽にまつわる諸々を、スティーヴ・ジョブズが生きていたらどんな展開にしていたんだろうなと気になったりもします。


今日の1曲

Feed The Treeをリンクしようかと思ったけどサムネイルが既にこれだったのでアーティスト・プロファイルをリンクしときます。


今日のパンが食べられます。