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『新しい時代における教養教育の在り方について』H14中教審答申

『新しい時代における教養教育の在り方について』(H14.2.21中央教育審議会答申)より抜粋。

第3章 どのように教養を培っていくのか

第2節-3-(1) 大学における教養教育の課題 より
(抜粋;太字は和泉による)

専門性の向上は大学院を主体にして行うのが今後の高等教育の基本的な方向となりつつある。その先駆けとして,法科大学院等の高度専門職業人養成型大学院(プロフェッショナル・スクール)の整備等も進められている。このことを踏まえれば,今後の学部教育は,教養教育と専門基礎教育とを中心に行うことが基本となり,各大学には教養教育の在り方を総合的に見直し,再構築することが強く求められる。

新たに構築される教養教育は,学生に,グローバル化や科学技術の進展など社会の激しい変化に対応し得る統合された知の基盤を与えるものでなければならない。各大学は,理系・文系,人文科学,社会科学,自然科学といった従来の縦割りの学問分野による知識伝達型の教育や,専門教育への単なる入門教育ではなく,専門分野の枠を超えて共通に求められる知識や思考法などの知的な技法の獲得や,人間としての在り方や生き方に関する深い洞察現実を正しく理解する力の涵養など,新しい時代に求められる教養教育の制度設計に全力で取り組む必要がある。

また,このことは,すべての教員の教養教育に対する意識改革なしには実現できない。教養教育に携わる教員には,高い力量が求められる。加えて,教員は,教育のプロとしての自覚を持ち,絶えず授業内容や教育方法の改善に努める必要がある。入門段階の学生にも専門知識を分かりやすく興味深い形で提供したり,自らの学問を追究する姿勢や生き方を語るなど,学生の学ぶ意欲や目的意識を刺激していくことも求められる。

各大学においては,「大学教育には教養教育の抜本的充実が不可避であり,質の高い教育を提供できない大学は将来的に淘汰されざるを得ない」という覚悟で,教養教育の再構築に取り組む必要がある。


(和泉記)

「社会の激しい変化に対応し得る統合された知の基盤を与えるもの」を、“新たに構築される教養教育”と定義し、専門分野の枠を越えて共通に求められる知識や思考法や、人間としての在り方や生き方、現実を正しく理解する力を養うことを求めている。教員の意識改革としては、学問の伝授だけではなくそれを追求する姿勢を見せ、人生を語るなど、学生の知的探求の意欲を刺激することを挙げている。

→ 化学実験の授業で明治から昭和にかけての薄荷産業史を伝えることは、カリキュラム上の混乱や混雑を避け、理系学生が社会を見る目を養うだけでなく、教員自身が意欲的に教え語る姿を通して知的興味の幅を広げるという意味で、非常に効率的な「大学教養教育の再構築」を、実現する可能性をもつだろう。


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