小笹泉 / IN STUDIO

建築家、一級建築士、建築設計事務所IN STUDIO代表。東工大塚本研→メキシコ→内藤…

小笹泉 / IN STUDIO

建築家、一級建築士、建築設計事務所IN STUDIO代表。東工大塚本研→メキシコ→内藤廣事務所→現職。京都芸術大非常勤講師、元京都精華・名古屋造形大非常勤講師。 https://instudio.jp/

最近の記事

長源寺の庫裏を見て

蘆田暢人さん+川上聡さんによる、寺院の土地に建つ2棟の住宅を拝見した。 大阪の天下茶屋駅で降りて、西成区玉出の住宅街を通って20分ほど歩いて、長源寺にたどりついた。通ってきた住宅街は木密住宅に中層矩形の建物が混じっていて、下町の混淆した雰囲気がある。 中層矩形の建物が割と多い側に面して、3層緩勾配屋根の子世帯住棟が建つ。住宅としては立派なサイズの立面が構える。玄関を入ると大窓から中庭が見えて、その向こうにRC造勾配屋根の本堂と旧庫、そして平屋勾配屋根の親世帯住棟が見える。

    • 嵯峨嵐山のデイサービスセンターについて

      松岡篤/CAMPUSによる設計監理の悠遊庵こころデイサービスセンター(以下、デイ)の内覧会に伺った。JR嵯峨嵐山駅の近くの福祉施設である。既存鉄骨平屋店舗の改修で、用途変更の申請不要となる200㎡未満のリーシングラインを設定して、内装を設計してある。建物内に境界を引く所作に土地区画調査士を感じる。(松岡さんは一級建築士であるとともに土地家屋調査士) 既存建物はL形で、一部を先行して入っていたテナント(ヤクルト事業所)が占め、約200㎡を本デイが占め、まだ余している床に他テナ

      • 代々木八幡の住戸について

        藤本綾+信田匡康/チンドンのマンション住戸改修を拝見した。代々木八幡のご自邸である。 各種高度制限に切られた最大ボリュームの最上階にあり、その階には一住戸しかないのでペントハウスのように独占的であり、縦動線と設備シャフトの残余である住戸はC型のような平面であって、壁面もところどころ傾斜している。さながら岩山の頂上のような立体感と眺望であり、都市から削り出された豊かでワイルドな場所だった。 奥行きが小さい同心円状のC型平面には、さらに同心円状の壁で分節されて、そこにはメラメ

        • 長田の区画/奥の家について

          とある勉強会にて建築家松岡篤さんの「長田の区画/奥の家」を見せて頂いた。これは一家族が住むための住宅を計画し、その住宅が成立するように、親族が所有する土地を分筆するというプロジェクト。松岡さんは土地家屋調査士でもあり、境界確定・分筆・設計監理を一気通貫で行う。(余談だが、土地家屋調査士は一級建築士より難しいらしい。) 出来形となったのは、旗竿の区画・家形の立面・平屋の内部空間であった。勉強会では内部空間よりも区画と立面が話題となった。区画を描くことの抽象性と立面の抽象性が目

        長源寺の庫裏を見て