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20240204 山崎さん

日曜日。とても寒い日。

長いメールを書く。一気に書く。

椎名町へ。椎名町といえば無論「トキワ荘」だが、今はミュージアムになっているし予約制だと思ったので行かなかった。私はあまり聖地巡礼みたいなことに興味がないのかもしれない。わーここかあ、みたいな気持ちになりたいと思わないのだ。しかし「まんが道」は今でも私の心のバイブルであることは純然たるものだ。満賀道雄と才野茂。このネーミングには本当に涙が出る思いだ。A先生のF先生に対するリスペクトと嫉妬ともう一度リスペクトが窺える。

駅の改札を出たところに貼ってある赤塚不二夫と石ノ森章太郎のトキワ荘漫画を読む。私も子供の頃はずっと漫画家になりたかった。夢だった。おこづかいでGペン買ったりスクリーントーン買ったりして、ちまちま描いていたことを思い出す。

「砂の国の遠い声」でお世話になった山崎一さんが出演する舞台を見に行く。シアター風姿花伝「夜は昼の母」。何の前情報も入れずに見に行った。3時間を超える長い舞台だったが、とにかく山崎さんが、圧巻。釘づけだった。力、理性、笑顔、脱力、堕落、面白、雄弁、詭弁、だささ、優しさ、情けなさ。苦悩しているその刹那、小狡い顔。演技の幅という有体な言葉では括ってはいけない気がした。構築された巨大な魂のようなものだと感じた。山、というより、塔。積み上げられたその天辺にいるのが、自由な山崎さんの身体。岡本健一さんの無垢な悪魔のような美しさにも驚いた。濃密な時間。重くのしかかってくる物語のはずなのに、洒脱。最悪の状況が繰り広げられているのに客席からは笑い声も起こる。重くても重くない。投げ出さない。山崎さんはじめ俳優の皆さんが、この重いテーマに風を孕ませ私たち観客に呼吸のタイミングを与えてくれる。

俳優の仕事は果てしなく、答えはなく、深淵で、そして、命懸けなのだと思った。その日々を送るところまで辿り着く人は少ないだろう。

すごい人だ。改めてそう思った。

帰り道に山崎さんにメールをするといつもの優しい文面で返事が。なんだかほっとした。目白駅まで歩く。徒歩18分とあったがそこまで遠く感じなかった。

見終わると、このチラシがなあ


チューダー飲みたい

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