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昨日、AQ逆境指数という言葉を知りました

昨今、EQ (Emotional Intelligence Quotient)、IQ (Intelligence Quotient)は心理学だけでなく、ビジネスの場でも日常的にも耳にするようになってきました。

昨日、同僚とEQの話をしていて、で、何の略語だったっけ?と調べているうちに、AQ (Adversity Quotient)(逆境指数)という言葉に出くわしました。AQに関しては、以下のサイトに詳細な説明が載っていました。

読んでの通り、AQは個人や組織が逆境に対処する力と定義されています。
これに欠けていると、困難から逃げ出したり、他人のせいにしたり、否定的、受動的な言動ばかりして、組織のお荷物になるという内容が書いてありました。確かにAQの低い仲間とキャンプに行ったり、仕事でタグを組むのはリスクな気がします。

通訳者にとっても、この逆境対処力は非常に重要なものだと感じます。

通訳現場は必ずしも通訳者にとって秩序だった世界ではないこともある、というか、そんな秩序だった現場に出くわしたら、逆に希少なものとして感謝さえするほど、最適な通訳環境を整えることは難しいものです。通訳を雇う方々もウェブ会議、ハイブリッド会議で全ての状況に精通されているわけでもありません。

結果、日々通訳者が出くわす逆境とは?まあ、様々です。以下はその典型例です。

①事前に会議の資料や情報、下手すると会議の目的や参加者リストさえも知らされないまま現場に駆け付けた挙句、話されている内容はチンプンカンプンで、用語を調べる時間が確保できない(悪夢)。

②音声環境が良くないので、聞き取れない(プレゼンターに適切なマイク設定をしていない、マイクの性能がイマイチ、ウェブ会議のインターネット接続が悪い、現場なら隣からものすごい音でキーボードを打つ音が聴こえてくる、館内放送を止められない、等)。

③話者の英語に特有のアクセントがあり、聴きづらい(インド、タイ、スコットランド、アフリカなど、挙げればきりがなく、そもそもTOEICに出てくるような英語の発音を耳にする方が少ない)。

④話者が緊張していて、あるいは時間に迫られ早口すぎて、通訳メモが追い付かない(話者に悪気はまったくない)。

⑤同じ部屋で複数の会議が行われており、会話が混線し、自分の声もかき消される(カオス・・・でも実際にある)。

で、こんな逆境が発生するたびに、いちいちへこたれていては通訳者は務まらないので、まずは仕事を受ける段階から、上記のような状況に陥らないかどうか、陥ったら誰にフラグを立てるべきか、ベストエフォート(こんな状況でやりますんで、全部伝わらなくても、どうかお目こぼし願います)という概念がクライアントにコミュニケーションできているかを確認しておきます。

そして、どんなに準備をしても、やはり逆境は起こります。

その時にチームワークを発揮してペアと手分けして例えばクライアントが直前に作成した資料を入手しにいったり、最悪の事態に備えてチャット機能を駆使する選択肢もありかを確認したり、早口が加速するスピーカーに「スローダウン願います!」の合図を送る経路を確保しておいたり、混線しても集中するだけのスタミナを備えておいたり、そんな対処力、柔軟性、危機管理能力が、通訳者には必須となります。

そして一番大切なことは、すべてを乗り切ったあかつきには、エージェントに建設的な報告を簡潔に行い、一旦すべてを忘れて、次の仕事に当たることです🤭


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