映画オッペンハイマーと前田哲男さん
先日、ピースボートに乗船した際、軍事ジャーナリストの前田哲男さんのオッペンハイマーに関する批評を聴講することができました。
映画を観る前後は、特に反核を訴える一部の日本人の知り合いからは、悲劇のヒーローをアメリカ人の独善的な視点で描いた映画であるとか、長崎や広島の被爆者のことがまったく描かれていないとか、アンチな見方をする声しか私の耳には届いていませんでした。
核の廃絶と平和を訴える軍事評論家の前田さんもそんな展開で話を持ってくるのかと予想していたら、大きく外れ、映画には広島や長崎の被爆者の声は反映されているとの評価をお伺いすることができました。
また、オッペンハイマーはマンハッタン計画に指導者で原爆の父と呼ばれたことには違いないが、トルーマン大統領が強行する水爆の開発に最後まで反対した科学者として評価されていました。
オッペンハイマーは東京・大阪には訪問したものの、広島・長崎には訪問しなかったそうです。しかし、1964年に広島の被爆者と米国で面会した際、涙ながらに謝罪したというエピソードが最近通訳者から明かされたという報道を前田さんが紹介してくださいました。
そんな前田さんの他人の評価にぶれることのない独自の批評に照らし合わせながら、再度この映画を観てみようと思いました。