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細かく砕いて詰め込む技術

同時通訳と整理収納の共通点は、情報またはモノの不要部分を除きながら、細かく砕いて美しく収納する技術であると思います。

同時通訳では、長い文章を最後まで聴いてからターゲット言語の順番に置き換えて訳出するみたいな余裕はありません。その代わりに、意味の最小単位でチョップし、無理やり短いセンテンスを作りつつ、次の情報を取り込んで、またチョップして出す、を繰り返します。

どのタイミング、どの短さでチョップするか?に正解はなく、個々人の通訳者の裁量に任せられます。その見極めには予測能力もモノを言うため、通訳者は、話者が出している公知の情報を拾って、思考回路を辿ることで、訳出のシミュレーションをすることも求められます。

よく、同時通訳は情報が整理されてないから聞きにくいと言われますが、通訳者側でこの整理ができてさえいれば、一発で頭に入ってくる訳をきくことは可能だと思っています。

私が同時通訳をするプロセスを考えると、日本語包みに入っていた鍋の材料を、英語タッパーに収まるように切り刻んで、うまく隙間を探しながら、ツメツメするイメージが思い浮かびます。泥や皮や飛び出た部分は切り落としながら、余計な調味料は加えずに、素のままキチンとタッパーに細かく並べられた材料はとても美しいものです。みんなのフォトギャラリーから拝借した見出し写真のようなキンパみたいに材料が並べば、理想形ですね。

ちなみに通訳者の中で咀嚼できずにボロボロ情報が抜け落ちるのが"lost in translation"と言われる現象で、沢山あったはずのお野菜やキノコがズタボロにされて、タッパーにチョビっとしか残ってない😨そんな状況は避けなければならないのは言わずもがなですが、実際の現場では、まあ発生する様子も見かけないと言えば、ウソになります😅

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